“この華奢な体のどこにこんなパワーを秘めているのだろう?”。ツアーファイナルとなるこの日のライヴを観て、彼女の喉の強靱さとその声量に改めて感心させられた。アルバム『Reloaded』リリース時のインタビューで“ツアーでは会場のみんなと盛り上がりたい”と言っていた言葉通り、今ツアーでのセットリストにはライヴ映えするナンバーの数々がこれでもかという勢いで惜しげもなく投下された。
1曲目「Reloaded」からテンションは絶好調。低い音域のAメロから高いメロディーで張るサビまで、レンジの広いヴォーカルを滑らかに聴かせる。続く「Realize」ではセクシーな歌詞を強調するように間奏で投げキッスをしたり挑発的な動きをしたり。今回のアルバムでは光や希望だけでなく、それと対となる闇や影も歌われているが、この曲では“闇RAMI”ならぬ“エロRAMI”の顔もちらりと垣間見せた。
その後も前作『Aspiration』からの「Rainwater」や新作からの「Moonlight」など、イントロのリフでオーディエンスが拳をあげたり、サビでは合唱になる曲、さらにヘドバンの波が起こるヘヴィな曲もふんだんに盛り込まれ、全員参加型ライヴならではの楽しさが炸裂。また、本編後半には「Spirit Black」や「夜蝶」などAldious時代のナンバーも立て続けに5曲披露され、昔から応援してきたのであろうファンたちは大きなリアクションを返していた。
親しみを感じさせるMCでのキュートなトークや、はたまた驚異的に伸びる超ハイトーンシャウトなど、CDを聴いているだけでは味わえない彼女の魅力をいくつも発見することのできたこの日のライヴだが、特に印象的だったのはバラード曲「Forever Precious」で聴かせた歌唱力。ファルセットを多用する静かなナンバーだが、歌声が決して弱々しくならず圧倒的に力強いのだ。情感のこもった歌を紡ぎ出す彼女の姿はただただ美しく、高貴な女神のような輝きを放っていた。
アンコール含め全18曲を歌い切ったRAMIは“生涯メタルシンガーでいたいと思います”と宣言し、息を飲むほどの超絶ハイトーンシャウトをキメて余裕の笑顔でステージを後にした。新時代のメタルクイーン誕生を確信した見応えのあるライヴだった。
撮影:Daisuke Honda/取材:舟見佳子
RAMI
ラミ:Aldiousの初代ヴォーカリストとして、2010年にデビュー。アルバム『Deep Exceed』『Determination』ではほぼ全曲の作詞、「Across」「Eversince」「夜想曲」など人気曲の作曲も担当。15年にはSADSのK-A-ZらとともにプロジェクトバンドRaglaiaを結成し、同年11月にリリースした1stアルバム『Creation』はへヴィなメタルサウンドでシーンに衝撃を与え、翌16年9月には1stソロアルバム『Aspiration』を発表した。