北海道札幌在住の4人組、The Floorのメジャー1stアルバム『ターミナル』は素晴しい出来映えだった。海外のエレポップ系バンドに強い影響を受けながらも胸にキュンとくるメロディーを散りばめ、外に開かれた明快なサウンドは1度聴けば病み付きになること必至! 今回はワンマンツアー『The Floor Presents「In Train Tour」東京編』ファイナル公演にて、集まった観客を至福の笑顔に導いたショーの模様をレポートしたい。
札幌発のThe Floorのメジャー1stアルバム『ターミナル』に伴うレコ発ファイナルには、大勢の人たちが詰めかけていた。ベートーベンの「交響曲第9番」をSEにササキハヤト(Vo&Gu)、永田涼司(Gu)、ミヤシタヨウジ(Ba)、コウタロウ(Dr)のメンバー4人が登場。「Cheers with you」で勢い良く始まるや否や、最初は様子見だった観客も巻き込み、キラキラした笑顔をあちこちに咲かせる演奏ぶり。「Wake Up!!」でコウタロウはエレドラムを、さらに永田は鍵盤をプレイしたりと楽曲を最高のかたちで届けるために手段を選ばない貪欲な姿勢もアピール。中盤に入ると「パノラマ」「SING!!」「ハイ&ロー」と力強くもリズミックなテンポ感でフィジカルに訴える熱い高揚感を作り出し、それに続けとばかりに「イージーエンターテイメント」は音源以上の輝きを遺憾なく発揮。海外のエレポップを消化した抜けの良い音色に“ウォーウォー”の合唱フレーズも映え、場内は完全にダンスホールと化していた。
そして、ここで最新作のリード曲「18」へ。演奏する前にササキが“高3の時にバンドのライヴを観てカッコ良いと思った!”と語り、胸をすく清々しい歌声で観客を魅了。本編ラストの「ファンファーレ」においては、まるで世界中の光を集めたような煌めき感を放出し、大団円を迎えた。アンコール2曲を含めて1時間45分に渡る今回のショー。ササキの清冽な歌声はもちろん、鮮やかに宙を舞う永田のカラフルなギターは強力な武器だなと感じた。今後に期待せずにはいられない要注目バンドだ。
撮影: MASANORI FUJIKAWA/取材:荒金良介
The Floor
ザ・フロア:2012年10月に結成された北海道札幌市在住 4人組ロックバンド。16年に初の全国流通盤をリリースすると、タワレコメン選出や『RISING SUN ROCK FESTIVAL』への出演権を勝ち取るなど突如シーンに登場。海外インディーロックの系譜を持った世界水準のサウンドと、抒情的かつ温かな歌声は絶妙なバランスで共存。無邪気に“音”と遊ぶバランス感覚はフェスシーンからJ-POPシーンまでを横断する、新たなギターロックのスタンダードを北の地から鳴らす。