その昔、“ロックは子供のもの”という大人たちの発言をよく聞いた。それはネガティブな意味を持っていたけど、自分が大人になった今、それはそれで納得ができる言葉だと思っている。まさにThe MANJIのライヴがそれ! ROLLY(Gu&Vo)、佐藤研二(Ba&Vo)、高橋ロジャー和久(Dr&Vo)という熟練のプレイヤーたちは全員が齢50オーバーだが、ステージの上ではもはやロック少年そのもの。3人のいぶし銀のプレイは余裕があっても隙はなく、緊張感や緊迫感をまといつつも、かつてルーツロックに洗礼を受けた演奏でもって目の前のロック好きのツボをガンガンに突きまくっている。それに対してクラップや歓声で呼応する観客の表情も“楽しい!”のひと言に尽き、フロアーもキッズに戻っている。
また、ニューアルバム『TRIPLED』を引っ提げてのツアーも21本目ということで、アルバムの曲が成長し、十二分に起爆力を発揮していたのも特筆すべきところ。すかんちのドクター田中をプレミアムスーパーゲストとして迎え入れての中盤戦では、センチメンタルなサビを大合唱した「まままままんじ」をはじめ、ロジャーの語りによる“初恋の甘い思い出”を綴ったドラマチックな大曲「ユミコとタクシー」、さらに田中がメインヴォーカルを務めるすかんちの「恋人はアンドロイド」で会場のキッズ感であり、ピースフルなムードが何倍も増すのだった。
そして、誰もが完全燃焼した心地良い疲労感を噛み締める終演後、場内に客出しのBGMが流れたのだが、それが全員で大合唱した「まままままんじ」の歌声だったことも追記したい。まさに最後の最後までハートウォームな空間がそこにあった。つまり、ロックはそんな永遠の子供たちのものなのである。
撮影:土田 紘/取材:土内 昇
The MANJI
ザ・マンジ:すかんちのROLLY、マルコシアス・バンプの佐藤研二、X-RAY/RESISTANCEの高橋ロジャー和久というロック30年選手たちが集結し、熱きパッションを注ぎ込んだロックバンド。2008年に1stアルバム『卍』、翌09年には2ndアルバム『puzzle』を発表。そして、17年7月、“THE 卍”が心機一転バンド名を“The MANJI”と改め、メジャー初となる3枚目のアルバム『TRIPLED』をリリース。