メジャー3rdアルバム『THE END』の店着日である9月6日に、日付が変わった頃を見計らって突然発表された解散。それによって初の武道館公演がラストライヴとなったわけだが、武道館だからと派手なセットがあるわけでもなく、解散だからと湿っぽくもなく、アンダーグラウンド感たっぷりのロマンチックなロックンロールをぶっ放し、特別感などないライヴが展開された。「REBEL SONG」で幕を開け、「ボニーとクライドは今夜も夢中」などの甘味で刺激的なロックンロールを畳み掛け、武道館を魅惑的な毒気で侵しにかかるマリーズ。中盤に入ると「ラストワルツ」などの濃厚なミッドナンバーが、美しくも哀愁感が漂う音世界の深みへと観る者を飲み込んだ。この場所が武道館であることを忘れるほど、マリーズの独擅場となっていたことは言うまでもない。その後も「Mary Lou」などの代表曲で観客を魅了し続け、志磨遼平(Vo)が“さらば、青春! こんにちは、僕らの未来!”と叫んだ「ジャーニー」で佳境を迎えると、大合唱を誘った「ビューティフル」で本編が締め括られる。志磨が吐く言葉に“武道館”という言葉はあっても解散には触れず、いつもと変わらないパフォーマンスが繰り広げられたライヴ。
しかし、“ラスト”を意識させる瞬間はあった。アンコールで「YOUNG LOOSER」を披露し終わった後の沈黙だ。歓声を全身で受け止めるように、客席を見渡す4人の姿が印象深い。そして、“これが最後だ ―ああ、素晴らしき人生!”と咆哮するように歌った「ジ・エンド」がエンドロールのように終幕を告げる...。
まさにマリーズだからこそのロックを鳴らし、マリーズだからこその“最後”を演出したライヴだったと言えるだろう。