L’Arc~en~Cielにとっては約1年10カ月振りとなる国立競技場でのライヴ。それは2日間で16万人動員といい、最新技術を駆使したダイナミックな演出といい、過去に類を見ない一大スペクタクルとなって、ステージを360度に囲むオーディエンスを魅了した。
ステージに突き出した4つのカプセルから4人が登場して、幕開けに放たれたのは「CHASE」。アラブ女性のように顔をヴェールで覆ったhyde(Vo)がミステリアスかつワイルドに歌い上げれば、ken(Gu)は真裏のバックスタンドを煽り、髪を鮮やかな緑に染めたtetsuya(Ba)は横長のステージを端まで駆け出して、早速スタジアムは大歓声に揺れる。また、カウントダウンから聖火台に火が灯るパワフルな「REVELATION」、さわやかな音像が青空に映える「GOOD LUCK MY WAY」、やさしくも壮大な世界を醸し出す「BLESS」等、頭から幅広い表現力をフル稼働で楽しませてくれるのにも脱帽だ。
さらにヒットシングルを畳み掛け、「READY STEADY GO」の頃には陽が落ちかけた空にyukihiro(Dr)のドラムが炸裂。続いてアリーナ最後方のサブステージで球体上に膨らみ、地球がマッピングされたバルーンが破裂して4人が現れると、来場者に配布されたL’edバンドが発光して、夜光虫の海のような幻想的光景で「metropolis」を彩る。“東京オリンピックが決まって、ここが新しくなるんですけど...見た? デザイン。あれ、まさに未来世界じゃない?”というhydeのMCから始まった「未来世界」では、語り掛けるような歌声が切なくも美しく、アコースティックなアレンジで贈られた「花葬」もアダルトな情趣満点。メインステージに戻って以降も、巧みに制御されたL’edバンドの光がさまざまな色と映像効果で楽曲の世界観を手助けすることに。舞台から炎が噴き上がり、レーザーが飛び交う「DRINK IT DOWN」では、サビ前の一瞬だけ場内が真っ赤に染まって曲のスリルを高めたりと、正真正銘のオーディエンス参加型ライヴを実現してみせる。
また、待望の新曲「EVERLASTING」も初披露。hydeの熱情あふれるヴォーカルが妖艶に迫り、対照的に抑揚を抑えたプレイが張り詰めた緊張感で8万人を飲み込むと、レアな初期曲「Blame」でうねるベース、タイトなドラム、抜けるギターソロと熟練のアンサンブルを聴かせるのもたまらない。銀テープが飛び客席がブロック毎に色を変える「Caress of Venus」から人気曲で一体感を高め、辿り着いたゴールは、やはり「あなた」。
“生まれ変わったカッコ良い国立で、またやれたらいいなと思います。それまでみんな、ついてきてください”
スタンド席に浮かび上がったL’Arc~en~Cielの文字を見つめ、そうhydeが語って演奏された稀代の名バラード「あなた」に、一面ブルーに染まった客席からは大合唱が沸いて国立競技場をL’Arc~en~Cielというひとつの生き物に変える。そして、夜空に舞う無数の風船と花火が、夢物語の続きを次なる未来へと引き継いでいったのだ。