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蜃気楼

 
地平線が見えたよ 低い月明り ひび割れた大地の上
擦り減ったブーツとしわくちゃになった地図 午前零時のとばりで

舞い散る枯れ葉が冬の気配を秋の夜露に伝えてる

雲と太陽の狭間に堕ちてく星が森を包み
どんな草木も芽生えていくように 日々も再生していく

遠くで光ったカミナリを背に方位磁石を捨てたら 指先を舐め風向きを知れ

どこまでも続く空 瞬きする事も惜しむような美しい原野に立ち
胸に手をあてた時 走るがために背負った苦難が蜃気楼に消えた

軌跡を辿れば限界を知って逝った愛する人に宛てた
おそらく戻れない旅人(ひと)が書いた遺書のような手紙を拾った

「この視力(め)が衰え生命を削ってでも辿りつきたい聖地があるんだ」
と記されていたよ

どこまでも続く空 光は散りゆく者達を物語に還す
ここからは一人だよ 北上していく鳥の群れが蜃気楼に消えた
すべて蜃気楼に消えた
旅の終わりを知りたくて
人は蜃気楼に消える