アーティスト活動も本格始動!自身作詞作曲の楽曲も含むミニアルバム!

 2021年12月22日に“松下洸平”がMini Album『あなた』をリリースしました。ドラマ・舞台・映画・バラエティと多方面に活躍中の彼が、アーティスト活動も本格始動。今作には、松尾潔がプロデュースを手がけたタイトル曲を始め、自身作詞作曲の「FLY&FLOW」「旅路」など、カラオケ5曲を含む全10曲が収録されております。幼い頃から音楽が身近な存在であり、かつてはペインティングシンガーソングライター・洸平として活動していた彼。その軌跡や、役者と歌手の共通点、アルバム曲についての想いなど、じっくりお伺いしました。是非、アーティスト・松下洸平の魅力をご堪能ください。
(取材・文 / 井出美緒)
あなた作詞:松尾潔 作曲:指田フミヤ雨降る夜は きまって 長い電話をくれたね
だけど これから僕があなたの傘になれたら
あなたが好きで 好きで 好きで 好きで 好きで せつなくて
からめた指が ほどけないように 夢も魔法も奇跡も信じてなかった
僕があなたと出会ってしまった L ではじまる 終わらない物語
あなたと あなたと つくりたい
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僕は「はいカット!」って言われた瞬間に、もう完全に自分です(笑)。

―― 洸平さんは幼い頃から音楽が生活の一部だったそうですが、幼いながらに音楽に心が動かされた最初の記憶というと?

母親が音楽好きで、よく家や車で流れていたのが、スティーヴィー・ワンダーとかボーイズIIメンとか、R&B、ソウルミュージックでした。当時僕は幼稚園ぐらいだったので、歌詞の意味は理解していなかったんですけど、どうしようもなく歌いたくなるメロディーとか、ソウルという音楽が子どもながらになんか素敵だなぁって。多分それが本当のルーツだと思います。小学生の頃には一度、母親にボーイズIIメンのコンサートに連れて行ってもらって、それもカッコよかったんですよね。

―― 小学生でライブ初体験はなかなか早いですね…!

たしか会場は横浜アリーナで、あのなかで僕が最年少だったかもしれないですね (笑)。

―― 歌手になろうと思ったきっかけは、高校3年生のときに観た映画『天使にラブ・ソングを2』に感動したことだったと拝見しました。当時は、どんなアーティストになりたいと思っていましたか?

最初は「こうなりたい」というより、単純に「歌が歌えたら楽しいだろうな」という感じでした。10代の頃もやっぱりR&Bとかソウルが好きでずっとそういう音楽を聴き続けていて。そんななかであの映画を観たとき、ゴスペルのシンガーたちがとにかく楽しそうだったんですよ。あんな上手に気持ちよく歌えたら、めっちゃ楽しいしカッコいいだろうなって。これはもう自分もやるしかない!と確信に変わった瞬間でしたね。

―― そこから音楽系の学校に行き、ご自身でも曲や歌詞を作るようになっていくわけですが、最初の曲作りはいかがでしたか?

なんか…難しいとか簡単とか、良い悪いという物差しがまず自分のなかにありませんでした。当時は「思ったことを書けばいいんでしょ」って(笑)。ただただ思ったこと、感じたことを歌詞に書いて、鼻歌みたいなメロディーに乗っけて歌っていて、ただただ楽しかっただけというか。

―― 聴き手にどう聴いてほしいかというより、自分自身が楽しめることが大切だったのですね。

誰に聴いてほしくて書いたのかわからない曲ばかりでした。自分が歌いたいがために書くみたいな。当時は、この曲で誰かを励ましたいとか、誰かの力になるような曲を作りたいなんてことは、1ミリも考えてなかったと思います。

―― 当時、作っていた曲のワンフレーズとか覚えていますか?

photo_01です。

なんだっけなぁ…。活動も始めたばかりで、夢を追いかけているときだったので、恥ずかしげもなく「俺がいるのはここじゃない」的な歌だった気がします(笑)。「もっと上に行くんだ俺は!」みたいな。誰が聴くんだろうっていう、超ドリーマーな歌詞。でも、今思えばそういう曲も作ったっていいし、自分のためが誰かのためになることだってあるかもしれないから、時々あの度胸というか、あの勇気が今の自分に足りてないなって思うときもあるんです。

―― 当時と異なり、今はすでに俳優・松下洸平としてのイメージも聴き手の方にありますよね。大ちゃん(ドラマ『最愛』)だったり、レモンさん(ドラマ『#リモラブ ~普通の恋は邪道~』)だったり。

たくさんの方に知っていただけて、本当に嬉しいです。松下洸平ではなく、役のイメージを持ってくださってる方が多いと思うんですよね。だから逆に歌手としては、真逆を突いてみたい気持ちもあるんですよね。普段の僕のイメージから想像できないような、隠しているわけじゃないですけど、表には出していない感情とか、そういうものを楽曲で表現することも挑戦してみたいですね。

―― 役の場合はたとえば連続殺人犯など、ご自身からかけ離れた役も演じる機会があるかと思うのですが、歌で自身とはまったく異なる主人公の想いを歌うこともあり得ますか?

そういう比喩表現も全然ありだと思います。松尾さんに書いていただいた曲は、どこか台本をいただいたような感覚に近かったりしますね。

―― ちなみに、そのとき演じている作品の役として、気持ちを歌ったり歌詞を書いたりすることはあるのでしょうか。

それはないかなぁ。僕は「はいカット!」って言われた瞬間に、もう完全に自分ですね(笑)。よっぽど大変なシーンとか、自分にはない感情を演じる場合は、そのぶん奥まで入っていかないとその役になれないので、戻ってくるまでに多少は時間がかかるんですけど。大体は「お疲れさまでした~」のときにはケロッとしています。

―― いろんな役を演じることで、自分自身の感情がわからなくなったりすることもありませんか?

自分よりも役柄のほうが世間に広まっている場合とかは、その役にばかりみんなの目が行って、自分自身が置いてきぼりになっているような感覚になるときもあるかもしれないです。そういうとき「本当の自分って何だっけな」って思ったりもする。だから、ありのままの自分を忘れないためにも音楽がある気がしますね。今回のミニアルバムのなかに入っている「旅路」っていう楽曲にも、他の誰でもない“ただの僕”がいて。ああいう曲で時々、僕自身が救われるんですよね。

―― 洸平として活動されていた頃と、松下洸平として再デビューされた今、どんなところが変わったと思いますか?

めちゃめちゃ大人になりました(笑)。あの頃は本当に誰が聴くねんっていう曲ばかりだった気がします。でも最近は、自分らしさや自分の想いもエッセンスとして入れつつ、そればかりにならないように心がけるようになりました。どんなひとに、どんな状況のときに聴いてほしいかということをよく考えるようになった気がしますね。

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