Uta-net

ライブレポート

検索

メニューを開く

LIVE REPORT

the HIATUS

『Closing Night-Keeper Of The Flame Tour 2014-』

2014年12月22日
@日本武道館

the HIATUS初の日本武道館公演。距離の近さを大切にしてきた彼らにとっては、かつてない大きさの会場である。しかし、いざ演奏が始まると、5人が生み出す濃密な音によってステージとの距離は一気に縮まっていった。特に強い印象を残したのは、手話通訳士を交えて披露した「Horse Riding」。大地の響きを連想させるドラム、ベース。軽やかな風を思い起こさせるピアノ、ギター。細美武士(Vo&Gu)の伸びやかな歌声。その音に合わせて、踊るように手話をするゲスト通訳士。彼女の体全体から5人の音が表現される。音が聴こえなくても音楽を楽しめる可能性を、彼らは示してくれた。そして、もうひとりのゲストJamie Blakeが加わって披露された「Tales Of Sorrow Street」「Souls」。中でも「Tales Of Sorrow Street」はアコースティックギターの音がやさしく包み込む楽曲であり、Jamie Blakeの母性を感じる豊かな声と細美の力強い歌声が重なると、不安が吹き飛ばされて、心の奥に揺るぎない灯をともしてくれるように感じた。

ライヴ後半、「Lone Train Running」のピアノのイントロが流れ、大歓声が上がる。オーディエンスの合唱が武道館に響き渡り、途中からテンポアップするとフロアーもスタンドも激しく揺れた。ひとしきりエネルギーを放出した後、この世を去った仲間を想う楽曲「Something Ever After」が続く。天を見上げて語りかけるように歌う細美。聴覚の壁、国境の壁、生死の壁...彼らの音楽はさまざまな障壁を乗り越え、ひとつに融合させていく。ラストの「Waiting For The Sun」では会場全体が照らし出され、全ての人の顔がはっきり見えるようになる。そこにはくしゃくしゃになった笑顔と、喜びの涙があふれていた。