庄内しぐれ酒

庄内恋しや 歳とる度に
酔えば目頭 凍(しば)れる波の花
ふるさと売って 幾年(なんねん)だろか
詫びる冷酒 この身に染みる
帰りたいよ 帰れない
胸の根っ子が 意地を張る
庄内しぐれ酒

庄内達者か 親父も婆(ばば)も
写真一枚 心の守り札
湊のネオン 都会の浜は
カモメ一羽も 迎えにゃ来ない
帰りたいよ 帰れない
いつか坊主と 呑める日が
庄内しぐれ酒

庄内平野に 雪ん子降れば
鳥海山(やま)も夏まで 綿ぼうし雪化粧
盆には土産 ぶらさげながら
電話のおふくろ 涙をすする
帰りたいよ 帰れない
駅舎(えき)で手をふる あの姿
庄内しぐれ酒
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