らしさ。

 聞くひとの心を捉えて離さない、染み入る歌声と歌詞が多くのリスナーを惹きつけるシンガーソングライター・新山詩織。そんな彼女が2023年4月17日にメジャーデビュー10周年を迎えました! そして来たる7月5日には10周年記念アルバム『何者 ~十年十色~』のリリースが決定!
 
 さて、今日のうたコラムでは、メモリアルイヤーを記念して“新山詩織”による歌詞エッセイを1年を通じ、12ヶ月連続でお届け!その第6弾です。綴っていただいたのは、自身の“好き”にまつわるお話。みなさんは今の「好き」の選択に自信を持つことができますか…? また、今回も音声版がございます。本人の朗読でもエッセイをお楽しみください。


新山詩織の朗読を聞く

フリルとか花柄とか綺麗めなワンピースより
Tシャツとジーンズが好き
 
ヒールとかレースアップブーツより
スニーカーとかごっつい黒のマーチンが好き
 
長いサラサラのロングヘアより
バッサリ軽めなショートヘアの方が好き
 
全部好きだからそうしてる。
嘘なんて何ひとつないし事実だ。
「女の子らしく」というのに反抗するかのよに
いつからかボーイッシュな様相に変えていったあの頃の自分がいた。
 
でも実際、ファッション雑誌や街なかですれ違う人を見ながら
自然と「素敵だな」「いいな」と惹かれるのは
 
ほんのりレースがあしらわれた白いブラウスや
ストンと下に落とされたようなIラインの黒いワンピース
 
ジーンズの下からすらっと見える真っ赤なヒールにパンプスや
無造作に揺れてるふわふわなロングヘアやラフな三つ編み
 
見事に真反対なのだ。
「好きだから」
ほんとに?
 
ただただそんな理由で身に纏っていた洋服や靴
自問自答すればするほど隠していた本音が沸々と湧き上がってきた。
 
「きっとこう見えるからこうしてる」じゃない
「私はこれが好きだからこれを選んだの」と、自信を強く持って言える勇気
 
結局は見た目がどうのこうのじゃなく、気持ちの持ちようなんだと。
 
本当の「好き」と表向きだけの「好き」の違いを自分の中に見つけるのは
意外と難しく、ずいぶん時間がかかったけれど
 
今はあの頃よりもずっと自由な気持ちで、決めつけたりしないで
ワンピースでもTシャツでも白いブラウスでもヒールでもなんでも
自分の「好き」を選択できている気がする。
 
<新山詩織>



◆10周年記念アルバム『何者 ~十年十色~』
2023年7月5日リリース