未来にならずば死すべきか。

 今年結成20周年を迎えた“LACCO TOWER”が、2022年12月7日にオールタイム・ベストアルバム『絶好(ぜっこう)』をリリース!インディーズ~メジャー、全キャリアから発売された楽曲をメンバーがセレクトし、CD4枚(メジャーサイドCD2枚、インディーズサイドCD2枚)計50曲を収録する集大成的な作品となっております。
 
 さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放つ“LACCO TOWER”の松川ケイスケによる歌詞エッセイを3週連続でお届け!今回は第2弾です。綴っていただいたのは、今作に収録されている新曲「」にまつわるお話。今、かなわなかった何かが、未来になれなかった過去が、“棘”になってどこかに刺さっているあなたへ。この歌詞とエッセイを受け取ってください。



どんなタイミングか、どんなきっかけかは分からないが、今この文章を読んでくれている方は、きっとラッコタワーに何かしらの繋がりを見出し、そして限りある時間の中でこの文章を閲覧してくれているのだろう。
 
我々は20周年を迎えた日本語ロックバンドだ。5人組だ。歌詞は全て日本語だ。インディーズで長い時間を過ごし、30代半ばにしてメジャーデビューをし、20周年を迎える今年、初のオールタイムベストをリリースする。そしてありがたいことに今このような場と、あなたの時間をいただいている。今まで沢山の夢を描いてきた。結果として叶ったものもあれば、変わったものもある。そして勿論叶わなかったものもある。
 
皆さんはどうだろう?
 
目指していたもの、描いていたものに、どのくらい近づいた、遠のいただろう。居酒屋で語り合った夢はいつしか愚痴になり、カフェではしゃいでいたあの話題は文句に変わり、疲れた顔で家路についていないだろうか。未来という結果になれなかったあの過去は、今どこで何をしているのだろうか。
 
世の中の決まり、動き、年齢など、色んなものと自分との掛け合わせで出来上がっていく現実で、そいつは隠れてしまったんじゃないだろうか。
 
すらっと喉元を過ぎればそれでいい。ただ、風邪を引いたあの時のように、飲み込む前に引っかかる魚の骨のような棘があるのなら、それを胃に落とす必要はないのではないだろうか。ないものにはならない。今までのあなたを作ってきた全てが今のあなたなのだから。
 
闇の中で光っているピンゾロの目が、閉じ切ってしまう前に、今一度死ねなかったあの未来と会話してみてはどうだろうか。未来にならないものは全て死ぬべきではないのだから。
 
<LACCO TOWER・松川ケイスケ>


◆紹介曲「
作詞:松川ケイスケ
作曲:LACCO TOWER
 
◆オールタイム・ベストアルバム
『絶好(ぜっこう)』
2022年12月7日発売
COCP-41841/4 ¥6,050(税込)
 
<収録曲>
 
<Disc.1>
1.薄紅(うすべに)
2.化物(ばけもの)
3.雨後晴(あめのちはれ)
4.魔法(まほう/新曲)
5.嘘(うそ)
6.桜桃(さくらんぼ)
7.怪人一面相(かいじんいちめんそう)
8.傷年傷女(しょうねんしょうじょ)
9.若者(わかもの)
10.喝采(かっさい)
11.星空(ほしぞら)
12.地獄且天国(じごくかつてんごく)
13.雪(ゆき)
 
<Disc.2>
1.棘(とげ/新曲)
2.未来前夜(みらいぜんや)
3.遥(はるか)
4.葡萄(ぶどう)
5.非公認(ひこうにん/新曲)
6.青春(せいしゅん)
7.歩調(ほちょう)
8.非幸福論(ひこうふくろん)
9.狂喜乱舞(きょうきらんぶ)
10.火花(ひばな)
11.蛍(ほたる)
12.秘密(ひみつ)
13.花束(はなたば)
 
<Disc.3>
1.藍染(あいぞめ/Re-Recording)
2.杏子(あんず)
3.苺(いちご)
4.恋人(こいびと)
5.斜陽(しゃよう/Re-Recording)
6.栞(しおり)
7.雨(あめ)
8.模細工(もざいく)
9.奇妙奇天烈摩訶不思議
(きみょうきてれつまかふしぎ)
10.蛹(さなぎ)
11.組絵(ぱずる)
12.告白(こくはく)
 
<Disc.4>
1.林檎(りんご)
2.柘榴(ざくろ)
3.蕾(つぼみ)
4.花弁(はなびら)
5.後夜(こうや/Re-Recording)
6.未来(みらい/Re-Recording)
7.弥生(やよい)
8.鼓動(こどう)
9.紫陽花(あじさい)
10.錻(ぶりき)
11.懐炉(かいろ)
12.一夜(いちや)