誰かのことを分かってあげたい、孤独にさせたくない、味方でいたい。

 京都発・スリーピースガールズバンド“nolala”が2021年12月15日に1st EP『sequence』をリリースしました。今作には9月に配信リリースされた「生き辛い世の中だ」を含む全5曲を収録。“私の居場所は音楽のあるこの場所だ”。“人生”を感じさせられる1枚となっております。現在は今作を引っ提げたリリースツアーを全国で開催中!
 
 さて、今日のうたコラムでは最新作を放った“nolala”による歌詞エッセイを3日連続でお届け。今回は第2弾。執筆を担当したのは、メンバーの美寿々(Ba.&Vo.)です。綴っていただいたのは、自身が初の作詞作曲を手掛けた今作の収録曲結び目」に通ずるお話。傷ついたとき、孤独なとき、たったひとりでも自分のことをわかってくれるひとがいたら…。そんな思いを抱えているあなたに、このエッセイと歌詞が届きますように。



“ちゃんと仕事しています”“しっかり見ています”とアピールするために指示・指導の声が飛ぶような場。どこの職場もそうなんかな? 人の入れ替わりが多いせいでたった数ヶ月で、勤務歴が長い人=ベテランになってしまった。なりたくもない全体を仕切る立場になり、試行錯誤しながらこなす日々。そんな立場になると、できて当たり前。その日その時で状況が違う+次々といろんなことを上から追加され厳しい時ですら、できて当たり前。
 
ある日、あきらかに無理な時があって、できなくて、叱られた。割ときつめに(全然重要なミスでもないし、過去と同じミスをしたわけでもない)。ご指導を受けたとかそんなありがたい感じではなく、いやーな圧をかけられた感じで。こうすれば良かっただの、こうするべきだっただの。外で見てるだけやからそんなん言えんねん。うち1人が悪いみたいに言ってさあ。
 
同じ立場の人がいない。1人で抱え込む。
ぐるぐるぐる。
もやもやもや。
ぐさぐさぐさ。
この出来事が私に傷をつける。
 
ここの長は、私には言ってこないものの、上司に対してきつく荒い言葉 ・嫌味・大きな声を頻繁に飛ばしている。その度に職場全体が縮こまる。今時そんな口調で怒鳴るやついるんやって感じ。
マジでパワ◯ラ。
この環境が私の傷に塩を塗ってくる。
 
ポジティブな私ですらさすがに気が落ちに落ちきって、心が砂まみれの石に。今にも粉砕しそうな状態だった。
 
それがある日、私が傷を負った
あの日のことを知っている1人がひとこと。
 
「あれはできなくて仕方なかった」
 
その言葉を聞いた瞬間、急にどばどば涙が溢れ出てきた。職場の事務所で。大人やから うっ… と抑えて静かに涙してたけど、
 
「うあああん!そうやんなあああ…!うち、うちが、、!うちが悪いみたいな感じで、、!めっちゃ責められてさああああ…!うあああああん…!!!泣泣泣」
 
って感じで内心は号泣。
水を得た魚みたいな。使い方違うな笑。
 
たった1人でも分かってくれる人がいたら、たったひとことでも声をかけてもらえれば、こんなにも救われるんやって。気付いた。実感した。あの日のことを綺麗に消化できたというだけでなく、一瞬にして何かに包まれた感じがした。
 
仕方なかったよね。
頑張ったね。
今日もお疲れ様。
応援してるよ。
 
そう想われているというだけで、自分自身はなにもしていないけどHPを保っていられる。自分も誰かのことを分かってあげたい、孤独にさせたくない、味方でいたい。
 
1st EP『sequence』を作るにあたって、nolalaの美寿々として初めて作詞作曲をすることになったわけですが、どんな曲を書こうか考える間もなく自然とこの気持ちが溢れ出てきて歌詞にしました。
 
ライブでみんなに歌いたい。
曲を聴いて、心に、御守りにでもしてほしい。
 
タイムリーに今感じている想いと、そもそも私がなんで音楽をしているのかという核心部分の想いをも同時に詰め込むことができた、初めての作品に相応しい曲になったと思います。
 
結び目」/nolala
 
<nolala・美寿々>



◆紹介曲「結び目
作詞:美寿々
作曲:美寿々

◆1st EP『sequence』
2021年12月15日発売

NCJD-10008 ¥1,650(tax in)

<収録曲>
1 生き辛い世の中だ
2 天秤
3 piece of
4 大人になったら
5 結び目