バンド人生の終幕まで残り4ヶ月となったところで急に光が差した。

 京都発・スリーピースガールズバンド“nolala”が2021年12月15日に1st EP『sequence』をリリースしました。今作には9月に配信リリースされた「生き辛い世の中だ」を含む全5曲を収録。“私の居場所は音楽のあるこの場所だ”。“人生”を感じさせられる1枚となっております。現在は今作を引っ提げたリリースツアーを全国で開催中!
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“nolala”による歌詞エッセイを3日連続でお届け。今回は第1弾。執筆を担当したのは、メンバーの千陽(Gt.&Vo.)です。綴っていただいたのは、バンドを辞めようと思っていた頃から、今作『sequence』にたどり着くまでの想い。そしてこれからへの意志。是非、歌詞と併せてこのエッセイを受け取ってください。



バンドは、もう辞めようと思っていた。
いつからだろう、ここ最近の話ではなく
もう2年くらい前からかなぁ。
 
好きな人を追いかけてギターをはじめ
元彼を見返すために曲を書き
ずっとバンドに夢中だった。
特にここ数年は特別ハードなスケジュールで日々を過ごし
自分なりに精一杯、本当に精一杯頑張っているつもりだった。
 
でも売れていく後輩、
それと反するように評価されなくなっていく自分の曲。
正直、恥ずかしかった。
プライドはもうズタボロだった。
 
バンドを辞めない私に痺れを切らした親に家を追い出され
自分の気持ちを伝えられずメンバーとも距離ができ
曲が書けなくなり心が限界に達した時
「バンドを辞めたい」
そうメンバーに伝えた。
 
了承は得られなかったものの、
自分の中では終わるための活動が始まる。
「私にはもう何も残らない」
「頑張ってきたものが全て無になる」
そんなことを思いながら
バンド人生の終幕まで残り4ヶ月となったところで
急に光が差した。
 
「私たちの事務所と一緒に頑張っていきませんか」
 
すぐに受け入れることが出来ず
私はとにかく辞めるための理由を探す。
 
自分の年齢
自信
親の反対
環境
辞める理由は十分に集まった。
 
でも
ここまで頑張ってきたこと
メンバーの想い
支えてくれた沢山の人の言葉
そして自分の夢
全てが気持ちを引っ張っていく。
 
四六時中考えた。
悩んだ。
食事が喉を通らない
というかそもそも食事という存在を忘れるほど
とにかく悩み、悩んだ。
 
本当にこれでいいのか
ここで終わってもいいのか
辞めようと思った直前に事務所から声がかかるなんて
そんな奇跡のようなことが起きているのに。
続けられる方法はあるんじゃないか
そもそも
自分が辞めたい理由って本当はどれなんだろう?
ひとつひとつ洗い出した。
 
そして結局
「言いたいことが言えない」
それにより心に溜まった沢山の石を
抱えられなくなったからだ
ということに気づいた。
 
全ては自分自身の問題で
それを隠すために環境や親のせいにして
辞めようとしていたんだ。
メンバーや支えてくれたみんなの気持ちも考えずに。
 
私はもう一度この光を背に
夢を追いかけることにした。
メンバー一人一人に気持ちを伝え
前より一層固い絆になったことを確信した。
 
待たせてごめん。
もう一度頑張ってみたい。
 
そこから、再スタートに向けて曲作りが始まる。
『sequence』
ここから私たちは再び出発します。
親にはまだ、言えていない。

nolala・千陽>



◆1st EP『sequence』
2021年12月15日発売

NCJD-10008 ¥1,650(tax in)

<収録曲>
1 生き辛い世の中だ
2 天秤
3 piece of
4 大人になったら
5 結び目