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今日のうた

BUMP OF CHICKEN

未だに心の本当はジャングルジムの中にいる。

 幼い頃の性格は、年をとっても変わらないという意味で【三つ子の魂百まで】ということわざがありますが、みなさんはどんな子どもでしたか? 大人になってから、ふとしたときに“あの頃から変わらない自分”を感じることはありませんか? さて、今日のうたコラムでは、わたしたちにも遠い昔を思い出させるような新曲をご紹介いたします。

ここまでおいでって言ったのが 遠い昔の事みたいだ
灯りのついた公園で ジャングルジムの中にいたよ

皆の前じゃいつも通り おどけてみせた昼の後
一人残って 掌の鉄の匂いを嗅いでいた

帰ろう 帰ろう 遠くで歌っている

その日 僕を見ていたのは 欠けた月の黒いところ
「ジャングルジム」/BUMP OF CHICKEN

 2019年7月10日に“BUMP OF CHICKEN”がリリースしたニューアルバム『aurora arc』に収録されている1曲。歌の前半では、幼い頃の<僕>が描かれております。友だちと鬼ごっこをして「ここまでおいで」と、遊んでいる無邪気な姿。しかし<皆の前じゃいつも通り おどけてみせた>というフレーズから、その“無邪気”は<僕>にとって意識的・意図的なものだったことがわかるのです。

 そして<一人>になったとき、幼き<僕>のもう一面が見えてきます。ジャングルジムの中、ボンヤリ<掌の鉄の匂いを>嗅ぐ姿。血の匂いに似た、騒がしさの残骸のような匂い。黙ってそれを嗅ぎながら<僕>が何を考えていたのか、まったくわかりません。すると、遊んでいたときの「ここまでおいで」が別の意味を持ってくる気もしませんか?

 つまり“「ここ」=本当の僕”には、誰もたどり着けていないということ。そう深読みしてみると、途端にジャングルジムも、ただの遊具ではない“本当の僕が隠れる避難所”に思えてきますよね。また、唯一そんな<僕>を<見ていたのは 欠けた月の黒いところ>です。光の部分ではなく、限りなく広がる黒いところ。その光は<皆の前>の僕、黒いところは<一人>になったときの誰も知らない僕に、重なるのではないでしょうか。

あれから大人になった今 色々忘れた顔をして
たくさんの知らない人達と レールの上で揺られる

行きも帰りも大差ない 自画像みたいな顔をして
転ばないように掴まって あるいは座って運ばれる
「ジャングルジム」/BUMP OF CHICKEN


 歌の中、時は移り、今度は<あれから大人になった今>が描かれてゆきます。大人のみなさんなら、身に覚えのある、いつもの風景でしょう。ただ、ここで表現されている<行きも帰りも大差ない 自画像みたいな顔>が、どこか先ほどの<一人残って 掌の鉄の匂いを嗅いでいた>僕に通じているんです。やっぱり<自画像みたいな顔>が何を考えているのか、まったくわからないのです。さらに次のように続いてゆく歌。

隣の他人が最後に泣いたのは いつ どんな理由

例えば最新の涙が いきなり隣で流れたとしても
窓の外飛んでいく 電柱や看板と同じ

それでもどうしてだろう つられて泣いてしまいそうな
名前もわからないのに 話も聞いちゃいないのに

誰から見ても取るに足らない
だからこそ誰にも言えない
そんな涙ならきっとわかる
あぁ そう これは ただの例えばの話
「ジャングルジム」/BUMP OF CHICKEN

 主人公の<僕>もまた“わからない”と言っていますよね。幼い頃<一人残って 掌の鉄の匂いを嗅いでいた>自分の“本当”には誰もたどり着けなかったように、今<僕>も<隣の他人が最後に泣いたのは いつ どんな理由>かも、<最新の涙>の理由も、何ひとつ他者の“本当”には触れられません。ただし“わからない”ということだけは“わかっている”のです。それゆえに<つられて泣いてしまいそう>になるのだと思います。
 
 おそらく、かつてジャングルジムの中、幼い自分の心にあったのは<誰から見ても取るに足らない だからこそ誰にも言えない>そんな気持ち。自分以外の誰にもわからない気持ち。そして、大人になった今、そういうものが実は誰にでもあるのではないかと<僕>はわかっているのでしょう。みんな少なからず、他の誰にもわからない、もしくはわかってほしくない、自分だけの<欠けた月の黒いところ>があると。

どんな時でも笑えるし やるべき事もこなすけど
未だに心の本当は ジャングルジムの中にいる

帰ろう 帰ろう 遠くで歌っている

ここから出たらいつも通り ありふれた一歩目を歩く

欠けた月の黒いところ 欠けた月の黒いところ
「ジャングルジム」/BUMP OF CHICKEN


 こうして幕を閉じてゆく歌。ここで【三つ子の魂百まで】のことわざを思い出します。幼い頃<皆の前じゃいつも通り おどけてみせた>自分と、<一人残って 掌の鉄の匂いを嗅いでいた>自分、どちらの面もあった主人公。その<僕>は大人になっても<どんな時でも笑えるし やるべき事もこなす>自分と、“<ジャングルジム>=本当の僕が隠れる避難所”で誰にもわからない想いを抱えている自分、どちらもあるのです。
 
 そういう自分だけの<ジャングルジム>のような存在や<欠けた月の黒いところ>、みなさんにもありませんか? それは、幼い頃の自分に通じていませんか? BUMP OF CHICKEN「ジャングルジム」を聴きながら、是非いろんな記憶をたどってみてください。

◆紹介曲「ジャングルジム
作詞:Motoo Fujiwara
作曲:Motoo Fujiwara

◆9th Album『aurora arc』
2019年7月10日発売
初回限定盤A TFCC-86679 ¥4,500+税
初回限定盤B TFCC-86680 ¥5,500+税
通常盤 TFCC-86681 ¥3,000+税

<収録曲>
01.aurora arc
02.月虹
03.Aurora
04.記念撮影
05.ジャングルジム
06.リボン
07.シリウス
08.アリア
09.話がしたいよ
10.アンサー
11.望遠のマーチ
12.Spica
13.新世界
14.流れ星の正体