明日も朝起きて、歯を磨いて、生活をスタートさせる。

 2019年3月26日に“Salley”が最新EP『Sunrise and Sunset』をリリースしました。ボーカル・うららと、ギター・上口浩平の二人からなるSalleyという個性をしっかりとのせた今作。全体を通して【前に進むこと】をテーマに今までよりも強いメッセージが描かれており、デビュー5周年の集大成とこれからも進んでいく彼らを感じられる一枚です。

 そんな二人は来たる2019年9月7日に“Salleyふたりワンマン『S・A・L・L・E・Y』を開催決定!最新作の収録曲もじっくり味わえるスペシャルなステージとなることでしょう。さて、今日のうたコラムではそのSalley・うららさんが歌詞エッセイを執筆!3週に渡って、記事をお届け。ラスト・第3弾では、EP『Sunrise and Sunset』収録曲「サンライズ・アンド・サンセット」についての想いを綴っていただきました。第1弾第2弾に引き続き、ご堪能くださいませ…!

~「サンライズ・アンド・サンセット」歌詞エッセイ~

 朝、目を覚ますとまず歯磨きをする。部屋を見渡し、しなければいけないことと一日の予定を頭の中にパパパッとフラッシュさせながら歯を磨く。洗濯機をまわし、ご飯を炊き、温かい紅茶を入れて一息つきながら、スマホで連絡やSNSをチェックする。時間があればシャワーを浴び、さらに時間があれば半身浴をして、HDレコーダーに録り溜めたバラエティ番組を流しながらメイクを済ませる。そのあと軽く食事をとり、家を出たり、自宅作業に入ったりしていく。

 これが私の毎朝。

 昨日は、とても楽しい日だったかもしれない。もしかしたら、悲しいことがあったかもしれない。それでも朝、歯を磨いて、生活をスタートさせる。「時間は待ってはくれない」と、中学のときの国語の先生が口癖のように言っていた。そんな風に、時間って、自分を置いて進むものなんだって思ってたんだけど。

 ずっと前。悲しくて、ご飯が食べられなくなったときがあった。眠れない日が続き、ようやく眠れたと思ったら悪夢にうなされ、すぐ目覚めてしまう。一人になると嫌な感情がぐるぐると渦巻いてしまうから、とにかく毎日誰かと過ごして、はしゃいで、遊びまわって、どうしようもなく疲れてから無理やり眠る。そんな日々を過ごしていたときがあった。

 それから何年かが経ちふと振り返ってみると、「ここでその日々が終わりました」というきっかけはとくになかったのに、今は一人で夜に眠れる私がいることに気づいた。なんだ、時間は自分を置いて、ひとりでに進んでなんかいない。私も時間と一緒に、勝手に進んでいたんだってことを知った。

日はのぼり
またしずむ
サンライズ・アンド・サンセット
サンライズ・アンド・サンセット
続いてゆく


 「悲しいこと」は自分の力じゃどうしようもないことが多い。失恋だって、喪失だって、なんでもそうだ。自分の思い通りにならないことが、生きていればたくさんある。それは受け入れていくしかない。だけど「悲しんでいても仕方がない」なんてことはない。「仕方ないけど、悲しいことは、悲しい」。それでいい。
 
 そうやって、明日も朝起きて、歯を磨いて、生活をスタートさせる。今日もあの出来事が心の中にあって悲しい。だけど美味しいものを食べて幸せ。好きな人に会えて嬉しい。でもやっぱり思い出すと悲しい。それは、ぜんぶ自分の中にあっていい。そうやってまた今日を過ごして明日を迎える。

今日は昨日に 明日は今日に
当たり前に 君も前に進んでいるよ


 これからも生きていれば、絶望するときや、悲しみに暮れるときがまたあると思う。そのときはおまじないみたいに「サンライズ・アンド・サンセット」――また時間が進んで、自分も勝手に進んでいくんだって、そんな風に心に浮かべられたらいい。
 
 そしてまた、朝起きて、歯を磨いて、生活をスタートさせるのだ。

<Salley・うらら>

◆紹介曲「サンライズ・アンド・サンセット
作詞:うらら
作曲:上口浩平

◆最新EP『Sunrise and Sunset』
2019年3月26日発売
<収録曲>
1 サンライズ・アンド・サンセット
2 セカイ
3 憂鬱ロマンティック
4 プレイヤー
5 淋しがりやのLADY
6 証 -あかし-
7 emerge
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