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今日のうた

平井堅

飲み物でも買いに行くように、君は「じゃあね」と言った。

運命の人なんて、
何歳で出会うかわからないから、
怖いのだ。


 これは、最終回を迎えた木曜ドラマ『黄昏流星群~人生折り返し、恋をした~』のキャッチコピーです。人生の折り返し地点に差し掛かった大人たちが、最後の輝きを模索してゆく物語。エリート銀行マンだった妻子持ちの主人公(佐々木蔵之介)は、とあるきっかけでひとりの女性(黒木瞳)と恋に堕ち。一方で、主人公の妻(中山美穂)は、娘の婚約者(藤井流星)と惹かれ合い…。
 
 まさに“怖い”運命の歯車に劇中の大人たちは翻弄されてゆくのでした。さて、そんなドラマの主題歌が、平井堅の「half of me」です。2018年11月28日にニューシングルとしてリリースされましたが、実はおよそ10年前に書かれた楽曲。ライブでファンのみに届けられ、ずっと未発表のまま温められてきたラブバラードが、ついに世に放たれたのです。

飲み物でも買いに行くように
君は「じゃあね」と言った
閉めたドアの音が重く響いて
この胸を引き裂いた

君が置いていった雑誌には コップのシミが出来て
乾いて消えるかと思ったら 痣のように残った
「half of me」/平井堅

 まず、寂しげだけど美しいピアノのイントロが、喪失感と幸せだった恋の記憶を、同時に物語ります。運命の人を、何歳で失うかわからないから、怖いのも人生。歌の主人公の<僕>もまた、最後の輝きであった<君>を失ったのです。そして、長い時間をかけて築き上げてきた愛だとしても、ラストシーンは「じゃあね」のたったひとこと分です。
 
 しかも、まるで<飲み物でも買いに行くように>あっさり。ちょっと心を潤したいから、何か足りないから、少しだけ離れて、またいつもみたいにすぐ戻ってくるかのよう。でも<閉めたドアの音>の重さが、そうではない“事の重さ”を思い知らせ<この胸を>引き裂きました。ドアが閉まったことは<君>の心への入口が閉ざされたことと同じ。また、どこでも行けそうな気がしていた自由な<僕>の終わりでもあるかもしれません。
 
 さらに<君が置いていった雑誌>も、残された<僕>を苦しめます。きっと<コップのシミ>は二人の“日常生活”のなかで出来たもの。だから、乾いて消えずに<痣のように残った>それを見つめるたび<僕>はあの日々を思い出すのでしょう。むしろわざと、その<痣>に何度も触れて自ら心を痛ませるのでしょう。痛むことで、失った<君>を、確かにあったはずの<愛>を確かめるのです…。

あたりまえは いつももろい
君がいない世界が待ってる
いつものような 僕でいられるけど
誰にも気づかれずに泣いていた
「half of me」/平井堅

 思えば、ここまで歌詞に登場してきた<飲み物>や<ドア>や<雑誌>や<コップ>など、すべて<あたりまえ>に二人の“日常生活”に存在していたものなんですよね。しかし、それらは<もろい>ものでした。今や<僕>にとって何もかもの存在価値が変わっているであろうことが伝わってきます。それに、いつものような<あたりまえ>の<僕>で在ろうとしても、やはり“もろく”て<誰にも気づかれずに泣いて>壊れてしまいそう。

 ただし、動詞は<言った><引き裂いた><残った><泣いていた>と“過去形”で綴られており、もう<君>がいた世界も、別れの日さえも着実に“終わったもの”として受け入れざるを得ません。では<君がいない世界>をどう生きてゆかなければならないのか。生きてゆけるのか。それが描かれているのが、平井堅の「half of me」なのです。

抱えた傷は形を変え いつしか体の一部になる
人はどうして 叶えられぬものを
引きずりながら生きて行くのだろう?

何を見ても 何を感じてても
二人で分け合った事に気づく
僕はこれからも探すのだろう 失われた半分を

何を残し 何を捨てればいい?
何を忘れ 何を願えばいい?
誰もが迷い探し続けてる 壊れやすい永遠を

失われた半分を
「half of me」/平井堅

 この歌の<僕>が出した答えは、傷を<体の一部>に変え、あらゆる現実を<引きずりながら生きて行く>ということなのだと思います。失われた半分を探しながら。壊れやすい永遠を探し続けながら。それでも、とにかく<何を残し 何を捨てればいい? 何を忘れ 何を願えばいい?>と、考えること、歩むことを止めずに、生き続けてゆくこと。
 
 悲しみの中でも、そんな強さをこの歌は教えてくれている気がしませんか? 恋人、家族、友達、大切な誰かや何か。みなさんにもいつか<失われた半分>ができる日が来るでしょう。すでにそういうものがあるという方もいると思います。その気持ちは、一人で抱え込まずに、平井堅「half of me」に重ねながら聴いてみてください。やさしい歌声と歌詞が、残された半分の痛みをほんの少しでも、和らげてくれますように。

◆紹介曲「half of me
作詞:Ken Hirai
作曲:Ken Hirai

◆NEW SINGLE『half of me』
2018年11月28日発売
【初回生産限定盤】 ¥1,500+税
【通常盤】 ¥1,130+税