君がもし罪を犯したら。

 2018年6月27日に“橋本裕太”が3rdシングル「君は容疑者」をリリースします。歌ネットでは、現在歌詞先行公開中!このシングルタイトル曲は、人気マンガ家・桜田雛の名作コミック『金魚の糞』を楽曲化したものです。もともとは、橋本裕太がデビュー前から未完成のまま密かに披露していた楽曲で、ファンの間では幻の名曲とされていたそうな。その2つの名作がこの度、コラボレーション。

 企画の始まりは【もしも大切な人が罪を犯してしまったら…】という“究極の愛”がテーマとして通じているところ。マンガ『金魚の糞』では、不幸な生い立ちを背負った少年、彼を受け入れるためだけに存在しているような少女、二人のそばで微妙な関係を保つ幼なじみによる、痛くも美しい友情と愛情の物語が描かれております。そして、そのマンガを読んだ橋本裕太が自身の楽曲とのリンクに大きな衝撃を受け、より『金魚の糞』のストーリーに合わせ、歌詞を書き直したのです。

君がもし罪を犯したら
君がもし遠くへ行ってしまうなら
僕が心から愛した人
だから何としてでも守るよ

君がもし探し出されたなら
君がもし連れていかれるなら
同じ夢を見てた二人の
淡い恋の物語だった
「君は容疑者」/橋本裕太

 歌の冒頭から、ずばり作品のテーマである【もしも大切な人が罪を犯してしまったら…】という難題が掲げられておりますね。仮定ではありますが、みなさんが<僕>ならどんな選択をすると思いますか? きっと一般的に最も“正しい”のは、傷ついた他者や<君>自身のことを思って、容疑者である<君>にその<罪>をしっかり受け止めさせ、償うよう、自首するよう説得することなのでしょう。

 でも、この歌の<僕>の選択はそうではありません。歌詞の中で<僕>は一度も“~すべきだ”とか“~しないで”とか<君>に何かを求めはしないのです。「本当に君を思うからこそ…」なんて正論や綺麗事も言わないのです。ただただ<僕>は、共に罪を背負うことを選びます。全てを敵にしてでも<僕が心から愛した人>を守り抜く。その想いは、二人の運命を<淡い恋の物語>なんかで終わらせないという強い意志の証ではないでしょうか。

逃げよう 逃げよう ずっと遠くに
連れ出して 僕が嘘をついてあげるよ
バレないから大丈夫 何があっても 離さない

逃げよう 逃げよう もっと遠くへ
君がやった事はそう 全部知ってる
周りがコソコソしてる だからなんだよ 離さない
「君は容疑者」/橋本裕太

 サビでは<逃げよう 逃げよう>と、ぐんぐん<僕>が<君>の手を引いて、もっとずっと遠くへ逃げようとしている姿が見えてきます。一見、逃げるとは“弱さ”に感じられるかもしれません。しかし<僕>は<何としてでも守る>という形で戦っているのです。また<僕が嘘をついてあげるよ>と庇ったり、<やった事はそう 全部知ってる>と罪も含めた上で愛する宣言をしたり、どこまでも<君>の味方であろうとするその姿から伝わってくるのは“弱さ”ではなく“強さ”であるように思えますね。

逃げよう 逃げよう 僕がいるから
君の居場所ならもう ここにあるから
綺麗事は言わないよ 何があっても離さない

誰も知らないところへ行こう
涙の味なんてもうしないくらい
乾き果ててしまったよ
またこれから二人きり
「君は容疑者」/橋本裕太
 
 罪を犯すことは悪い。犯した人が悪い。それは当たり前です。ですが窮地に立たされたとき、みんなにコソコソされて、みんなに正論を言われて、みんなが敵になって、どこにも<居場所>がなくて、最も苦しいのは“容疑者”本人なのだと思います。そんなとき、正論も綺麗事も世界も投げ出して<何があっても離さない>と言ってくれる人が、ただ一人いる。それだけでどんなに救われることでしょう。
 
 たとえ、逃げ切れなかったとしても、罰を受けることになっても、おそらくその<僕>の存在は一生モノとして<君>の心を生かしてゆくのです。橋本裕太「君は容疑者」を聴いた上で【もしも大切な人が罪を犯してしまったら…】その答えを、改めてあなたも想像してみてください。あなたなら、どのような愛の形を選びますか…?