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今日のうた

柴田淳

きっとこれが最後の恋と、思っていたのに。

ねぇねぇ答えて!
ねぇねぇ教えてよ!
君が生きる意味
君が生まれた意味なら
なかったらどうするの?

君がいなくても世界は回る
たとえ消えても気付かない
誰も困らない
君がそれを変えてゆくの
「理由」/柴田淳

 シンガーソングライター“柴田淳”が、2017年9月20日に自身11枚目のニューアルバム『私は幸せ』をリリースしました。オリジナルアルバムとしては、前作『バビルサの牙』以来、約2年8ヶ月ぶり!さて、まず冒頭でフレーズをピックアップしたのは今作の入り口となる楽曲ですが、このアルバムについてのコメントで「内容は今まで以上にストレートで、憎しみをそのまま表現しています。優しい歌はありません」と、柴田淳が語っているとおり、初っ端から歌詞に容赦がありません…。

 応援ソングによく綴られているような「すべての人に生まれた意味はある」という希望や「君はオンリーワン」という励ましとは、むしろ逆。<生まれた意味>がなかったらどうするの?<生きる意味>を教えて!と追い詰め、<君がいなくても世界は回る>と突き放しているのです。でも、この歌が生まれた“理由”は、ただリスナーを打ちのめすためではないのでしょう。大切なのは、最後の<君がそれを変えてゆくの>という言葉。アルバムの冒頭から、甘えていた心を現実で平手打ちされて、目が覚めるからこそ、このフレーズが本当の意味で身に沁みるのではないでしょうか。

貴方のことは死ぬまで 許してあげない
「誰にも言わない」/柴田淳

「飾らない君は可愛い。」と言って欲しいの?
「嫌いな女」/柴田淳

掴めなかった 幸せになれなかった
「轍」/柴田淳

 さらに『私は幸せ』収録曲のフレーズに注目してみると、やはりいずれも強烈なものばかり。とくに「轍」という楽曲は、アルバムタイトルに反し<幸せになれなかった>とまで言い切っております。1曲目「理由」で目が覚めた心に、次々と本音を突きつけられるかのようですね…。というより、わたしたちがこれまで言葉にできなかったこと、言葉にしてはいけないと思っていたことを、すべて“柴田淳”が背負って歌ってくれているようにも感じられます。ただ、そんななか「唯一の幸せソング…!?」と思える楽曲も。

もう出逢いなんて
訪れないと 思ってたら
私と同じように
ため息ついて あなたがいたの

沢山の恋が あったのに
今まで一人でいたのは
全部ね あなたに出逢う為だったのかな かなって
「両片想い」/柴田淳

 主人公は、もう恋なんてしない、もう一生独りだ、と思って生きてきた“私”です。その彼女が、あるとき<同じように ため息ついて>いた孤独な“あなた”と出逢ったのです。そして、どちらからともなく、お互いに惹かれ合い<きっとこれが最後の恋>だと、結ばれたのではないでしょうか。……いえ、結ばれかけたのでしょう。この歌のタイトルは「両想い」ではなく、「両片想い」なのです。先ほどの「唯一の幸せソング…!?」という淡い期待(?)は、サビで打ち砕かれます。

きっとこれが最後の恋と
思っていたのに
また空を見上げて
誰かと歩む未来が
消えてゆくのを
見てる

きっとこれが最後の恋と
思っていたのは
私だけじゃないはず
少し夢見てたのかな
涙溢れて 止まらない
「両片想い」/柴田淳

 <あなたに出逢う為だったのかな>って、<きっとこれが最後の恋>かなって、思っていたのに、今までと同じように散っていった恋…。それでも“私”は途中まで<いつものことよ>、<ここまで来れたのなら 生きて行けるわ 一人で>、<何故いつもこうなるかな? 私らしいっちゃ らしいね>と自分自身に言い聞かせ、なんとか“大丈夫”になろうとしております。でも、歌がラストに向かうにつれ<気が遠くなる未来に 大丈夫かな もう一人>、<大人になったら 恋も上手くなれると思った>と、どうしても弱音がこぼれてしまうのです。

きっとこれが最後の恋と
思っていたのは
私だけじゃないはず
あなたと歩きたかった
桜並木の彼方まで
「両片想い」/柴田淳

 そして、このように幕を閉じてゆく曲。やはり優しい歌はありませんね…。余談ですが、今年放送されていたドラマ『カルテット』のセリフに「悲しいより悲しいのは、ぬか喜びです」という言葉がございました。柴田淳の「両片想い」にはまさに、その“悲しいより悲しいこと”が描かれているのではないでしょうか。<きっとこれが最後の恋>だと、ぬか喜びをしてしまったからこそ一層、<誰かと歩む未来が 消えてゆく>のが残酷です。それなら、最初からそんな恋しないほうがマシだったのでしょうか。それとも、たとえ失ってもこの恋をしたことに何か意味があったのでしょうか。どちらがより“幸せ”なのか…そのようなことも考えさせられます。

 また、アルバムのラストに収録されている「バースデー」は、どこか「両片想い」の“私”のその後の心境にも重なり、女性のリアルな心の痛みや苦しみが伝わってくる楽曲となっております。しかし、そんな主人公たちのいくつもの負の感情を含んだアルバムが『私は幸せ』というタイトルなのです。私は幸せ。私は幸せ!私は幸せ…。私は幸せ…? 全曲を聴いてみた上で、みなさんなら、どんなアクセントでこの言葉を口にしますか?

◆ニューアルバム『私は幸せ』
2017年9月20日発売
初回限定盤 VIZL-1208 ¥4,000+税、
通常盤 VICL-64819 ¥3,000+税

<収録曲>
1 理由
2 両片想い
3 轍
4 手のひらサイズ
5 嫌いな女
6 容疑者ギタリスト ~拝啓、王子様☆第四話~
7 誰にも言わない
8 いくじなし
9 バースデー
10 Present