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今日のうた

My Hair is Bad

どうして、終わりだけわかってしまうんだよ。

男は別れの言い方がわからない。
女はそれを言うべき時がわからない。
(米国作家:ヘレン・ローランド)

 恋の終わりが近づいているとき、お互いなんとなくその空気を感じ取っていることが多い気がしますね。でも、男性は別れる理由をうまく言葉にできず【言い方がわからない】し、女性は理由がはっきりしていても、心のどこかでまだやり直せるような気もして【言うべき時がわからない】…。それぞれ迷いがあるから、綺麗な別れは難しいものなのでしょう。さて、今日のうたコラムでは、そんな恋が終わるときの男女の心情を描いた新曲をご紹介。My Hair is Badが、2017年9月6日にリリースした両A面シングル『運命/幻』です。「運命」は男性目線の楽曲。「幻」は女性目線の楽曲で、両曲が対になっております。

偶然だった
最後であの日と同じ服
僕は遅れて行った
見慣れない短い髪だった
気不味くて珈琲で流し込んだ
でもなぜか味がしなかった
沈黙が続いていた
その瞬間 僕は悟った
「運命」/My Hair is Bad

 この歌の二人も、恋の終わりが近づいていることは薄々わかっていたはずですが、前述したようなそれぞれの迷いが原因で、別れを先延ばしにしてきたのではないでしょうか。しかし、おそらく彼女の方が先に【それを言うべき時】を決意したのだと思います。そして“僕”もまた、見慣れない短い髪、なぜか味がしなかった珈琲、続く沈黙、それらの<偶然>のピースがすべて合わさった<その瞬間>に悟ったのです。今日が【最後の日】であることを。待ち合わせのお店だけではなく、終焉の覚悟にも少し<僕は遅れて行った>のかもしれませんね…。

きっと終わりだった
ずっと分かっていた
もう何も言わなかった
ずっと怒鳴っていた
じっと睨んでいた
でも君は泣かなかった
どうして
終わりだけわかってしまうんだよ

立ち上がる僕の手を掴んで
その拍子にグラスが落ちた
たった数秒が長すぎて
たった一言も言えなくて
「運命」/My Hair is Bad

指に触れるだけで
胸が高鳴ってた
そんな二人はいつが最後だったろう
今は触れるだけで
痛むほどに酷く腫れていた
そして僕はそっと目を逸らして
「運命」/My Hair is Bad

 これも想像ですが、彼の方は【別れの言い方がわからない】から、彼女の終わりの言葉もちゃんと聞いてあげなかったのではないでしょうか。怒鳴って、睨んで、ついには何も言わなくなって、そのまま立ち去ろうとして…。彼は、これまで<痛むほどに酷く腫れていた>関係から<そっと目を逸らし>続けてきたのと同じように、ツラい最後も早く終えてしまいたいのです。ただ一方で、その“僕”の手を掴み、<泣かなかった>彼女には、何か強い“意志”があったであろうことが伝わってきます。

僕は店を出ると
もう振り返るはずもなかった
すぐに泣く君が嫌いだった

最後の最後で本当はね 聞きたかったよ
硝子の破片を拾いながら
床を拭く君の手に目を疑ってた
どうして指輪、外してなかったの?

必然だった
いつでも終わりは何かの始まりへ
「運命」/My Hair is Bad

 男性目線の「運命」は、こうして幕を閉じてゆくのですが、ラストの<いつでも終わりは何かの始まりへ>というフレーズはいろんな捉え方ができそうですね。きっと彼は今“必然”や“運命”という言葉で、自分自身に<きっと終わりだった>と言い聞かせる他ない状況なのです。<すぐに泣く君が嫌いだった>のに最後は彼女が泣かなかったことも、彼女が<指輪、外してなかった>ことも、本当はどこか心に引っかかっている…。また、<終わりは何かの始まりへ>繋がってしまうからこそ、彼女がちゃんと綺麗に終わろうとしているその意志を、わざと拒んでいるような気もしませんか…?

でも最後ぐらいちゃんとしたかったよ
「幻」/My Hair is Bad

指輪に気付いてくれなかったね
「幻」/My Hair is Bad

もしもあの時泣いてたら
「幻」/My Hair is Bad

もしもあなたが嫌じゃなきゃもう一度
「幻」/My Hair is Bad

 そして、こちらが女性目線の心情を描いた「幻」に綴られている想いの破片たち。やはり、ちゃんと恋を終わらせてもらうことさえできなかったからこそ、彼女は<何かの始まりへ>進めず“幻”のなかに閉じ込められたまま、心の時計が止まってしまっているのです。さらに歌詞を読むと“泣かなかったこと”にも“指輪を外していなかったこと”にも彼女なりの意味があったことがわかります。あの日【別れを言うべき時】だと決意はしていたものの<指輪>は最後の“賭け”だったのかもしれません。しかし、その賭けは「運命」に負けてしまったのでしょう。

 あの日、あの時、グラスが落ちてなかったら、彼が一度でも振り返っていたら、彼女が泣いていたら、どちらかが指輪について触れていたら…。そんな“もしも”があった場合の「運命」の「幻」を想像せずにはいられないニューシングル。是非、男女どちらの目線からも歌詞を読んでみてください。