ミュージシャンとは縁を好む生き物である。

 「The Surf Beat Music」を掲げ、Rock、レゲエ、R&B など様々なジャンルの要素が入り混じった新しいサウンドに、CityとSurfが融合する新世代ハイブリッド・バンド“SPiCYSOL”が2021年4月7日にリリース、デジタルEP『ONE-EP』を提げ待望のメジャーデビュー!今作にはメジャー第1弾作品として込められた、それぞれ「ONE」というテーマに基づく全3曲が収録されております。

 さて、今日のうたコラムではそんな最新作から、“SPiCYSOL”のボーカル・KENNYによる歌詞エッセイを2週連続でお届け。今回はその第2弾。茅ヶ崎に移住し、メジャーデビューという新たなスタート地点に立ったSPiCYSOLの決意を込めた「From the C」ついてのお話です。是非、歌詞と併せてお楽しみください…!

~歌詞エッセイ第2弾:「From the C」~

SPiCYSOLは『To the C』というミニアルバムでデビューした。ただの海(Sea)ではなくCaliforniaのビーチにいるようなカラッと気持ちの良いサウンドをみんなに届けられるように、という思いからアルファベットのCを使いそれをミニアルバムのタイトルとした。

今思えばそれは必然だったのかもしれない。デビューから約8年の月日が経ち、僕は今、茅ヶ崎というアルファベットにすると頭にCの付く海沿いの街に住んでいる。

茅ヶ崎に移り住んだ理由は特になかった。海沿いの街に住もうとはしていたが、初めは鎌倉でも逗子でも良かったし、もちろん千葉や他の場所も考えていた。きっかけは、家の解約日に横にいた先輩。これだけ。

ライブ続きで新居が決められないまま解約日を迎えたその日もちょうどライブで、そのライブを観に来てくれた先輩が「家の庭にエアストリーム(お洒落なキャンピングカー)があるから、次の家が決まるまでそこに住んでもいーよ」と冗談半分に言ってくれた言葉を本気にした。アウトドアが好きで、以前からエアストリームにも住んでみたいとずっと思っていた。海沿いにも住めるし一石二鳥じゃんって事で遠慮なくお邪魔させてもらう事にした。

ミュージシャンとは縁を好む生き物である。

家の解約日に現れた先輩が誘ってくれた街、そこが茅ヶ崎というCの付く街だったのだ。住んでみて分かったことは、海や自然に近く、街の雰囲気もよく、個人経営の店が多く皆フレンドリーでかつ味も美味い。

北海道という田舎出身の僕からするととても心地良く、音楽を制作するのにも最高の環境だった。誰とは言えないが仲間のミュージシャンやアーティストも沢山住んでいる(笑)。好きな店で好きな仲間たちとカラオケをしたり、茅ヶ崎の小道やビーチを散歩していると、ふと洋楽好きの両親が唯一聴く邦楽といえばもっぱらサザンオールスターズだったことを思い出す。サザンオールスターズの桑田さんも茅ヶ崎出身のアーティスト。

ミュージシャンとは縁を好む生き物である。

そんな順風満帆な茅ヶ崎ライフを送っている最中、世界がコロナに襲われた。予定してた全国ツアーは全公演中止、他のアーティストもみな活動休止を余儀なくされ、しばらくの間、世界からライブが消えた。

世間が少し落ち着きを見せ始めた時、「ライブが出来るかもしれない」と事務所から連絡が入った。『To the C』リリースからずっと応援してくれてる人達のおかげで無事C(茅ヶ崎)に辿り着いた俺たちは、活動再開の喜びと感謝の思いを込め、“再びここから”という意味で『From the C』というライブタイトルをつけ、さらにメジャーデビューも重なるこのタイミングに「From the C」という曲を書き下ろした。曲中には茅ヶ崎のお世話になってる店やスポットが登場してるので、ぜひ遊びに行ってみてほしい。

2020年、大変な事になった世界だが、見えたことも沢山ある。無くなったものもあるが、それは悲しいことだけじゃない。全てはあなたの目の前から変えられる。今から。ここから。そこから。From the C(See)。

<SPiCYSOL・KENNY(Vo.)>

◆メジャー1stデジタルEP『ONE-EP』
2021年4月7日発売

◆紹介曲「From the C
作詞:KENNY
作曲:SPiCYSOL