今までの痛みと喜びがちゃんとポケットに入ってたから、書けた。

 2021年3月3日に“SCANDAL”が、結成15周年アニバーサリーイヤー第1弾シングル「eternal」をリリースしました。今作には、これまでも数多くの楽曲を共作してきたシライシ紗トリ氏をプロデューサーに迎えて制作した新曲「eternal」の他、カップリングにはTOWA TEI氏による同曲のREMIXが収録されております。じっくりご堪能あれ…!

 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“SCANDAL”のRINAによる歌詞エッセイをお届けいたします。綴っていただいたのは、15年間、全力で、実直に、丁寧に、音楽を続けてきた今だからこその言葉です。新曲「eternal」に込めた想いにも通ずるこのエッセイ。是非、歌詞と併せて受け取ってください。

~歌詞エッセイ:「eternal」~

夢から醒める。
頭に沿って沈んだ枕、加湿された空気を窓から逃して、冷えたリビングへ向かう。同じことを繰り返しながら1日をスタートさせて、似てるけど少しだけ違う間違い探しみたいな毎日を過ごす。

小さくても光り続ける中を、行き先も決めず進んできて、今日。悲しいことが起きても、これ以上ないって程の幸せを見つけても、忘れたり綺麗なだけの思い出になるまで薄まったりしながら、時間は流れてゆく。

たくさん泣いて笑って15年間バンドを続けてきた。これだけに、その間の人生を全て捧げて毎年やり切ってきた。思い返せば中学生からワープしたみたいにあっという間にも感じる。そして、15枚目の扉の前までやってきた。

何を持って成功とか報われた気分を味わえるのかとかは本当に分からないけれど、いつも大切に丁寧に4人の正解を探しながらやってきた。何処まで行ってもずっと中間地点のマラソンみたいだ。少しでも止まるともう走れなくなる気さえして、自分でも嫌になるくらい神経質に張り詰め過ぎてしまって、人を困らせたり自分に困らせられるときがある。やれやれ。

いつの間にか夢とか目標とか言うあれこれを追い越して、生活や人生に変わった。それは、グラデーションみたいにナチュラルに。でも、しっかり自分たちで選んだ色に。「ここまで良く頑張ったじゃん」って、ちょっとは褒めてあげられるようになった。自分たちを認めたり許せたりするだけで、初めて解き放てるものがあることを知った。こんな時代にこそ、誰もがもっと優しい世界に触れて良いはずだ。

ときどき、今が連続してることが何よりもファンタジーに思える。地に足を着けて、正直で切実な曲が書けた。今までの痛みと喜びがちゃんとポケットに入ってたから、書けた。

目の前を霧が霞めたら、風を待って扇ぎ合って。失っても壊れても、また再生する。もう先のことは先の自分に任せて、この瞬間を。何処までも続かないこの瞬間を。怖くてもまた鍵を開けてく、これからの私たちを見てて欲しい。

<SCANDAL・RINA>

◆紹介曲「eternal
作詞:RINA
作曲:MAMI

◆New Single「eternal」
2021年3月3日発売

<収録曲>
M1. eternal
M2. eternal (TOWA TEI REMIX)