2018年12月31日『第69回NHK紅白歌合戦』が生放送され、白組が勝利を果しました。今回の紅白歌合戦のキーワードは【サプライズ】でしょう。曲目になかったデビュー曲を圧巻の歌声で披露したMISIA。別スタジオでの歌唱かと思いきや、ホールに姿を現した松任谷由実。そしてラスト、桑田佳祐がユーミンと密着し踊りながら「勝手にシンドバッド」を届けたサザンオールスターズ。出演者や司会者も予想していなかったスペシャルな展開が印象的でした。そして放送後にはSNSで「神回」との声が湧き、平均視聴率は41.5%と2年ぶりの40%超えの好記録を残したのです。【歌手別視聴率TOP10】(SANSPO.COM)

 ただし、歌詞アクセス数に表れた紅白の反響に注目してみると、必ずしも視聴率と“歌詞の注目度”が比例しているわけではないことがわかります。【紅白効果 楽曲別アクセスTOP20】には、2018年に新たに誕生した名曲や新世代アーティストの楽曲がズラリとランクイン。この特集では、そんな“紅白効果”に注目してみました。
 最も歌詞アクセス数が上昇したのは、米津玄師の「Lemon」です。昨年の年間ランキング1位に輝き、3月リリースの楽曲にも関わらず、12月に入ってもデイリー1位に登場しておりました。そして12月26日、紅白出場が発表されるとアクセスが急上昇し、前日の約6倍のアクセス数を記録。さらに大晦日には約4万6千回。元旦にはなんと約7万3千回のアクセス数を獲得…!
あの日の悲しみさえ あの日の苦しみさえ
そのすべてを愛してた あなたとともに
胸に残り離れない 苦いレモンの匂い
雨が降り止むまでは帰れない
今でもあなたはわたしの光
「Lemon」/米津玄師
出場者発表前から「出るのか!?」と期待されていた彼ですが、最初の発表の時点で、その名前は無し。多くの方が「やっぱりテレビには出ないよなぁ…」と思ったことでしょう。しかし、12月末ギリギリにまさかの初出場が決定!米津玄師がテレビで歌唱するのは初。まずは、その“衝撃”が歌詞アクセス上昇の第一波となりました。

放送当日、彼は故郷である徳島から生中継スタイルで出演。眩いキャンドルの灯りに包まれながら、美しい生の歌声をしっかりと届けてくれました。そのリアルタイムな“感動”が第二波に。また、翌日は“余韻”が第三波としてアクセス数に反映される結果となったのです。
「マリーゴールド」 /あいみょん
ああ アイラブユーの言葉じゃ
足りないからとキスして
雲がまだ2人の影を残すから
いつまでも いつまでも このまま
【紅白効果 楽曲別アクセスTOP20】TOP20内にランクインしている楽曲のうち、16曲は2018年のリリース楽曲であることにも注目です。桑田×ユーミンの強烈なフィナーレ含め、誰もが知っている名曲歌唱ステージの数々は圧倒的でした。しかし一方で、新時代の歌詞たちが確実にアクセス数を上昇させております。

とくに、第1部出場者のあいみょんは【歌手別視聴率TOP10】(SANSPO.COM)には入らなかったものの【紅白効果 楽曲別アクセスTOP20】では2位!紅組の1位であり、NHKホールでの歌唱者としても1位です。さらに、Billboard JAPANストリーミング・ソング・チャート【Streaming Songs】トップ10(集計期間:2018年12月31日~2019年1月6日)でも1位に「マリーゴールド」が君臨!実質、最も“紅白効果”があったアーティストと言えるでしょう。
【歌手別視聴率TOP10】にて堂々の首位に輝いたサザンオールスターズは、【紅白効果 楽曲別アクセスTOP20】では圏外となりました。でも、もちろん“歌詞支持率”が低いわけではありません。まず理由の一つは“誰もが口ずさめるほど、すでに知られている楽曲だから”です。そして何より、歌詞に浸るのを忘れるほど、当日のステージが“お祭り騒ぎの大盛り上がりだったから”です。このように、必ずしも視聴率と“歌詞の注目度”が比例しているわけではないのには、様々な理由があることがわかります。
さて、平成最後の紅白歌合戦は“神回”として幕を閉じましたが、新元号となって初の紅白歌合戦はどのようなアーティストたちが彩るのでしょうか。紅白はもはや“音楽番組”を超えた“国民的番組”だからこそ、それまで「名前は知っているけれど、しっかり曲を聴いたことはなかった」というライトリスナーも、初めてアーティストの歌唱姿を目にし、楽曲を聴きます。その結果、多くの視聴者が心を掴まれ、一斉に「歌詞を読みたい…!」という気持ちにさせられる。それが歌詞アクセス急上昇へと繋がるのです。2019年の紅白はオリンピックイヤーに向かって4ヵ年計画として掲げた【夢を歌おう】の4年目でもあり…。今から期待が高まります!