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「さくらんぼ」は<あたし>じゃないと絶対にダメ!

―― 先ほどの“思い出の楽曲”にも通じるかもしれませんが、愛さんが「このフレーズが書けてよかった」もしくは「このフレーズはもう書けない」と思う楽曲を教えてください。

「私」「クムリウタ」「ネコに風船」あと「恋愛写真」「ゾッ婚ディション」かな。いっぱい出てきちゃった(笑)。

―― では、1曲ずつ想いの丈をお願いします。

」は、歌詞に<傷が背を押していく>というワンフレーズがあるんですけど、書いた当時は締め切りに追われていて、そのなかでふわっと出てきた言葉だったんです。でも、リリースしてしばらくしてから「この一行って私の人生そのものだなぁ」って。本当に…失敗と挫折を繰り返し、怒られて生きてきて(笑)。ただ、そうやってバカにされたことに対して「その言葉、あとで後悔するからな?」というモチベーションを力にここまできたので。この一行はまさに私の精神力だと思います。

―― クムリウタ」は、2007年の楽曲ですね。

この頃は「なんでこんなツライことをいつまでも頑張っているんだろう」という出来事があって、精神的に落ち込んで、崖っぷちギリギリでした。だから当時は、自分自身を客観的になんて見つめられてなかったはずなんですけど、歌詞には書けていたことにビックリです。自分もそう思えていたならもっと楽だったのにねって。

―― きっとその当時は“これでダメなら終わりだ”と思っていたんですよね。

そう。ひとつのことにすごくこだわって、頑張って、でもうまくいかなくて。もう崖から落ちるだけだ…って。だけど何があったとしても、その先にはちゃんと道があるし、それ以外の選択肢もあるんですよね。とくに<まだここは通過点で>という一言をあの頃、自覚できていたなら、あんなにツライ思いをしなくて良かったんだと思います。自分で歌詞に書いているじゃん!って、今になって気づけたアンポンタンです(笑)。

―― ネコに風船」もラブソングというよりは、生き方を考えさせられるような楽曲ですね。

これはデビュー前に書いていた曲なんです。だけど内容は、デビュー後に思わぬ“さくらんぼ旋風”に自分自身も巻き込まれ、アッパーなイメージがついてしまったときの想いそのものなんですよ。こうなることを予想して歌詞にしたんじゃない!?ってくらい。

たとえば<かわいいと一瞬のもてはやし>というフレーズ。これは“大塚 愛もただのブームでしかない”という自分なりの皮肉というか。みんなに“さくらんぼお姉さん”的な扱いをされることに対して<バカじゃない?>とどこかで思っていた、若い頃の尖った感じが思いっきり出ています。

―― ちなみに、ご自身でデビュー当時の“さくらんぼ旋風”は予想されていませんでしたか?

いや、それを巻き起こすために頑張ったんですけど、しんどかったのはその後ですね。やっぱり初っ端で「このアーティストがこの曲で売れました。じゃあそういう人なんでしょう?」って認識されるのはしょうがなくて。それを覆して、別の楽曲の印象をみなさんに強く植え付けられなかったところが、私の至らなさだったんですよね。…あ!そういえば「さくらんぼ」の歌詞について、今一番言いたいことを思い出しました(笑)。

―― 是非、この場で伝えてください…!

みなさんに「さくらんぼ」を歌っていただくとき、こんなにひらがなでちゃんと<あたし>と表記しているのに“私さくらんぼ~♪”と歌う方が本当に多いんです!でも<私>と<あたし>では全く違うんですよ。<私>って、もうちょっと年齢が高いというか、地に足が着いているイメージなんですね。だけど<あたし>には若い、エネルギッシュな強さがある。

―― こだわりの<あたし>なんですね。なるほど…<DISC1>は1曲目「私」の次に、2曲目「さくらんぼ」が来るので<私>と<あたし>の違いがよりわかりやすいです。

そう!「私」はちゃんとしているんですよ。一方で「さくらんぼ」は爆進力が大切なので<あたし>じゃないと絶対にダメなんです!<私>じゃダメなんです!ここ、見出しに書いておいてください(笑)。

―― 見出しにします(笑)。では<DISC2>に移りまして、2006年の「恋愛写真」です。

サビの<『ただ、君を愛してる』 ただそれだけでよかったのに>という2行。後々になって自分で「すごい良いこと書けちゃった」って思えたんです。きっと<ただそれだけ>で続く関係は愛情であり、逆に<ただそれだけ>じゃいけないことは恋なんだなって。だから恋だけしかない関係だと<ただそれだけでよかったのに>もめて、こじれて、別れる。そういう“恋愛教科書本”みたいなことを書けちゃったなと(笑)。

―― 最後は2010年の「ゾッ婚ディション」ですね。

この曲を書くまで、私の書くヒロインって「なんて良い子ちゃんしているんだろう」っていう純粋な女の子ばっかりで。男性にとっての理想みたいな。ちょっと自分のなかで飽き飽きと、イラッとしてきていたんですね。どこかで「そんな女いねーよ!」って思ったりして(笑)。そこに違和感を持ったところから作ったのが「ゾッ婚ディション」だったんですよ。男性の間違ったプライドとか、言い訳とか、全否定して、本当の女性ってこういうもんだ!って。この歌詞を書けたとき「あースッキリした!」って思えました。

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―― 愛さんが歌詞を書くとき、使わないように意識している言葉や、逆によく使う言葉ってありますか?

あんまり使いたくないのは“綺麗な言葉”です。たとえば「一人じゃないよ」とか。娘が産まれたからこそ、今は“一人じゃない”と心から思えるんですけど、昔は「何言ってんだ!一人だよ!どうせ他人は他人だし、自分のことが一番なんだよ!」って思ったりもしたんですね(笑)。だから、いわゆる応援歌に使われそうな言葉は苦手かもしれません。なんか胡散臭く感じちゃって。必ず自分が実感できる言葉を使っていますね。よく使う言葉は…意識したことがないなぁ。

―― 今作の収録曲を聴いていたら<雨>の景色がよく伝わってきた気がします。

あ、たしかに<雨>は頻繁に使います!雨って、必ず降るけど必ず上がるものであり、周りから自分を消してくれるカーテンでもあり。あと<傘>を差せばちょっとオープンな個室にもなりますよね。だからラブソングは<傘>が登場するだけで、ロマンティックで危ない匂いがする特別な空間になったり。雨に濡れるだけでエロさが増したり、使い勝手が良いんです。

―― 愛さんが歌詞面で影響を受けたアーティストを教えてください。

小学校高学年くらいのときは、ちょっと大人っぽい歌詞に刺激を受けたりしていました。小泉今日子さんの「優しい雨」とか、今井美樹さんの「Miss You」とか、MY LITTLE LOVERさんの「Man&Woman」とか。あと親が『けっこう仮面』を借りてきて観たりしていたので、やっぱりエロティックなものからの影響は強いんでしょうね(笑)。

―― ありがとうございました!では最後に。冒頭で「転職」なんておっしゃっていましたが…これからどんな曲を作っていきたいと思いますか?

これはずっと目指していることなんですけれども、いつでもカラオケランキングの上位にいる曲を作りたいです。たとえば「残酷な天使のテーゼ」みたいな!何十年経っても「あの曲ずっといるなぁ~」っていう名曲を作ることが、生きているうちの夢ですね。

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大塚 愛の好きなフレーズ
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大塚 愛 (ai otsuka)

1982年9月9日生まれ、大阪府出身。15歳から作詞・作曲を始め、2003年9月 10日にシングル「桃ノ花ビラ」でメジャーデビュー。同年12月17日にリリースした2ndシングル「さくらんぼ」が大ヒット。2017年4月に8枚目のオリジナルアルバムとなる『LOVE HONEY』をリリース。 2018年2月に自身初のピアノ弾き語り“スタジオライブ”作品『aio piano』を リリース後、ピアノ弾き語りツアー『AIO PIANO vol.5』を全国4都市で開催。さらに『AIO PIANO at ASIA』として台湾・中国でのアジアツアーを遂行。9月5日には 25枚目となるシングル「ドラセナ」をリリース。 シンガーソングライターとしての活動のほか、イラストレーター、絵本作家、 楽曲提供など、クリエイターとしてマルチな才能を発揮し活動中。