新曲は<僕ら>がご機嫌に生きてゆくための愛の唄!

 2018年5月9日に“GLIM SPANKY”が4th Single『All Of Us』をリリース!お会いするまでは、お二人に対してどこかクールで寡黙なイメージを抱いておりました。しかし、インタビューでその思い込みは一転!もう11年も共にロックの道を歩み続け、もはや「家族のような仲」だと言う彼らのトークセッションは相性バツグン。時に漫才のように掛け合い、時に熱く語り合いながら、これまでの軌跡や新曲に込めた思い、歌詞についてのこだわりを語ってくださいました。是非「亀」と「レミさん」それぞれの個性の違いも楽しみながら、ご一読ください!

(取材・文 / 井出美緒)
All Of Us 作詞:松尾レミ 作曲:GLIM SPANKY
今日が終わる頃 僕らは笑っていますように
どうか 戦いながら生きる明日が晴れますように
隣にいる人々まで 自分事の様に思えるほど
ちゃんと愛しながら生きてたい
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「レミちゃん、そういう声出るの?」って言われて。

―― お二人は長野県の同じ高校出身で、その学生時代の2007年にバンドを組んだそうですね。GLIM SPANKYと言えばレミさんの痺れる歌声が強烈な個性の一つですが、亀本さんは初めてその歌声を聴いたとき、どのような印象でしたか?

亀本 それが、最初は今みたいに「あ゛~!」って声じゃなかったんですよ!こういう部分が際立ってきたのはデビューした後くらいからだよね?キーを高くした曲を作るようになって「あ~!」って歌っていたのが「あ゛~!」ってなった。でも高校でバンド始めたときは本当に低い音程で歌っていたもんね。

松尾 うん、その頃は男の人くらいのキーだった。私は高い声が出ないんだと思っていました。「あ゛~」ってなるのは喉が弱いからなんだろうなって。

亀本 だからバンドでコピーをしたときも、ELLEGARDENとかASIAN KUNG-FU GENERATIONとか原曲で歌ってたよね。BUMP OF CHICKENだけ半音上げだったかな。でもほとんど男性キーのまま。

―― デビューするにあたって、歌い方などを研究されたのですか?

photo_01です。

松尾 いや、全然!でもこういう歌声になったきっかけはあって。バンドを始めて「焦燥」という曲を作ったんですよ。で、それを歌ったとき、私たちのバンド活動をサポートしてくれていたブルースマンのおじさんに「レミちゃん、そういう声出るの?」って言われて。この歪んだ歌声に注目してくれて。そこで初めて「あ、高い声でも大丈夫なのかも」って思えたんです。それから、今までは無理だと思い込んでた高いキーを、歪んだ声でどんどん表に出していくようになりましたね。

―― 高校卒業後は、お二人ともそれぞれ上京し、共に音楽で生きていくことを決めたわけですが、それってもう“人生の伴侶”を決めるくらいの大きな決断ですよね。


亀本 あ~でも、レミさんが高校生で、僕が大学1年生の頃に『閃光ライオット』に出てさ、変な自信みたいなのはあったよね? もともと自分たちの音楽に自信はあったんですけど、それが形としてわかる機会って、若いときそんなにないじゃないですか。でも結果として表れたからさ、あんまりガチでやっていくことへの不安がなかったというか、上京前から「やれるべ!」って感じちょっとなかった?

松尾 そうだね。そこでミュージシャンとか音楽業界で働いている人たちと話をしたりして、こう…GLIM SPANKYとしてやっていくことは、絶対に届かない夢物語ではないという現実が見えたんですよ。それは大きかったと思います。

※GLIM SPANKYは、2009年に10代アーティストによるロックフェス『閃光ライオット』で全国5500組の中から14組のファイナリストに選ばれました。

―― では、音楽のパートナーとしてやっていく決め手のようなものって、お互いにありましたか?

亀本 僕はあるよっ。ひと言でいえば「レミさんはすごく才能があると思った」ってだけなんですけど(笑)。とくに学生時代は、曲作りもそんな手の込んだことはしていなくて。レミさんが作ってきたデモを、バンドメンバーは各自携帯のボイスメモに録音して、家でフレーズを考えるということをやっていたんですね。で、そのボイスメモが聴けば聴くほど良い曲で。「これ普通にめっちゃ売れるんじゃねぇか?」って感覚がすごくあって。だから僕は上京するときも「絶対にガチでやったほうがいい!」と思っていました。やっぱりそこは決め手じゃない? 才能があると思わなかったら、飯食っていくために一緒に音楽をやっていこうなんて思えなくない? ね、レミさん、そうだろ?

松尾 …うん。でも、私は亀にそこまでの確信はなくて。

亀本 なんだよーっ!ふざけんなーっ(笑)。

松尾 ごめんごめん(笑)。いや、私の作る曲に対してすごく真剣に向き合ってくれたし、表現したいと思っているベクトル以上のものをちゃんと作ってきてくれたので、もちろんそこは良いなぁと思っていたんですけど…。

亀本 そこまでの確信はなかったと…。

松尾 それよりも自分に自信があったから!ごめんな!まぁもともと亀とあと二人メンバーがいたんですけど、ドラムは車の整備士になりたいという夢があったのでサヨナラして。あとベースも一緒にやろうと誘ったものの、結局お金が貯められず上京できなくなっちゃった。ということで、亀だけが地元の大学を辞めてこっちに来てくれたんです。それが、2人でやることになった本当の理由で(笑)。でも、そのメンバーのなかでも一番ちゃんとやってくれて、自分の音楽の幅を更新し続けてくれていたのは亀だったかな。だから、他の人と組もうとは思わなかったですね。一緒に先へ行きたいと思いました。

―― 結成から考えると、お二人はもう10年以上も一緒にいるんですよね。11年目の今、改めて亀本さんから見たレミさんってどんな方ですか?

亀本 おぉ~難しいなぁ。いろんな側面があるからなぁ。でもまずはやっぱり、ものすごく才能がある人だなぁっていうのは、今も昔も変わらず、あるよ?

松尾 ありがとう(笑)。

―― ちなみに今日お会いするまでは、お二人ともすごくクールで寡黙なイメージがありましたが、それは私の思い込みだったということがわかりました(笑)。

photo_02です。

亀本 全然クールじゃないですよ!レミさんなんて普段は大体、ほげ~っとしてますから(笑)。音楽をやっているときもクールというより、ホットだよね。僕が客観的に見て、ライブ中とか、音的にも感情的にもアツいと思う。無機質とか冷たさみたいなものとは無縁な感じがしますよ。

松尾 そうなんだよね。自分ではいつもほげ~っとしているつもりなんですけど(笑)。よく「笑わなそう」とか言われるのがめっちゃ不思議で。多分、音楽やっているときは真剣だからそういう表情になっているのかなぁ。でも本当にまったくクールではないです!

―― レミさんから見た亀本さんはいかがですか?

松尾 亀は…日に日に…おてんばになっている。

亀本 おてんば!?表現合ってる!?

松尾 高校のときはもっと格好つけていたんですよ。そういう時期だから。でも10年も一緒にやっていると、もう家族みたいな仲なんで、格好つける必要がなくなってくるわけじゃないですか。そうなるとなんか…ずっとふざけていますね。ずーっと。それがとにかくウザすぎて、周りがシカトするようになっていくんですよ。ウザさがピークを越えてね。今、みんなその地点にいるよ? みんな飽きていて亀を無視している。

亀本 かわいそうな人みたいじゃん…。

松尾 だからそうだってば(笑)。どんどんいたずらっ子になって、子どもに戻っている感じですね。でもね、だからこそ音楽愛とかは少年のままというか、ちゃんと変わらずに…なんだろう…。

亀本 吸収してるよね。好奇心旺盛にね。なんで僕が自分で言うんだよ!

―― そんなお二人は音楽面でぶつかることはありませんか?

亀本 さっきもぶつかったよね。ラジオ収録で、僕が曲をセレクトしているんですけど、レミさんが「早くしろ!」つって。

松尾 それは亀がいつまでもぺちゃくちゃ喋っているからでしょ? でも音楽のことではあまりぶつからなくなったかなぁ。曲作りのときに担当するパートが違うので。私は歌詞とメロディー。亀はドラムとかギターリフとかのサウンド。そこはお互い尊敬してやっているところで、そんなには言い争わないというか、何か引っかかっても話し合いで済みます。ぶつかるのは、食べ物だよな?

亀本 食べ物はぶつかるどころか、まったく合わないから!仕事が終わると、二人ともそれぞれ帰って自炊するのとかめんどくさいから、食べて帰ろうってなるんですよ。必ず。それがまぁことごとく合わない。僕が「あそこのお店は?」って言っても、レミさん「え~あそこはなぁ…」って反応で、「じゃあどこが良いんだよ!」ってよく喧嘩して。でも最近はそこでぶつかることも少なくなったかな!11年で学びました。そういうときどうするべきか(笑)。

―― ちなみに亀本さんが歌詞面で何か意見をすることもあるのでしょうか。

亀本 ほぼしないですね。正直、歌詞に関しては他人事かもしれない(笑)。だって僕は書きたいこととか一つもないですもん。だけど、ただわかりやすくて単純なだけではない、何回聴いても深みのある歌詞をどんどん書けるようになっていると思います、松尾先生は。さすがです。僕が「こんな言葉なんて乗るの!?」って感じるフレーズも、しっかりメロディーにハマッていたりするから、すごいなぁって。それは今回のシングルでも感じました。

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