最も歌詞アクセス数が上昇したのは、西野カナの「トリセツ」です。2015年9月9日にリリースされたこの曲は、ミリオンリリックに認定されている歴代人気曲。紅白での歌唱により、もともとの人気に加え、さらに幅広い世代へその<歌詞>を印象付けました。その結果、紅白放送後には通常の2倍近いアクセス数を獲得!
第43回「名曲! 言葉の魔法・西野カナ“トリセツ”」
トリセツは、恋する女の子の乙女心を<取り扱い説明書>になぞらえた歌詞で話題の楽曲。紅白出場にあたり、西野カナは「私の中でも挑戦した曲、特に印象に残っている曲なので、(この曲で出演できることが)嬉しい」とコメント。SNS上には「紅白で初めて聴いて衝撃的だった」という声も多く見られ、さらに、女子から「神曲!」という称賛が多い一方で、「こんな女子めんどくさい」「重い」「自己中」「女の子がみんなこうだと思われたら困る」といった意見も挙がっていました。しかし“賛否両論”というのはもっともアクセス数を上昇させるポイント。彼女の“挑戦”は良くも悪くも視聴者に「歌詞が気になる!」という思いを抱かせたことは間違いないのです。1月1日の歌詞デイリーアクセスでは1位を獲得、ビルボードJAPAN週間ランキングでも新年早々1位に君臨し、大きな“紅白効果”を得たことがわかります。
また、紅白効果の【楽曲別アクセスランキング】TOP10内にランクインしている楽曲のうち7曲が紅組出場者の楽曲であることにも注目!とくにSNS上で好評だったのが、圧倒的な“歌魂”で魅せたMISIA「オルフェンズの涙」とSuperfly「Beautiful」です。3位のMISIAは、長崎の野外から、吐く息を白くさせながら、平和への祈りを込めた歌声を生中継で届けました。5位のSuperflyは、今回が紅白初登場とは思えぬほどの迫力で2015年にヒットした名曲を披露。2人の歌声の評価と共に、その楽曲も視聴者の心を震わせ、歌詞アクセスが上昇したようです。さらに、6位の椎名林檎は着物姿で登場し、<日本の粋>を表現するパフォーマンス。独特な“林檎節”が効いた「長く短い祭」の歌詞との相乗効果を生みました。

2011年に紅組が勝利した際には、勝因として“少女時代やKARAのK-POP効果”が大きく取り上げられていましたが、2015年の勝因は以上のような<歌詞力>と<歌魂>がよりストレートに伝わった結果であると思われます。
今回が紅白初登場となった星野源の「SUN」は【楽曲別アクセスランキング】の10位にランクイン!さらにオンエア直後、iTunesで「SUN」が収録されているシングル&アルバムチャートのダブル1位を獲得し、大きな“紅白効果”を得ました。SNSのコメントを見ると、曲は知っていたけれど初めて星野源のステージを観た、という視聴者から「星野源っていいね!」という声が多数。また2015年秋冬はドラマ『コウノドリ』にも出演していたため「あ、しのりん(役名)が紅白出てる!」と思った方もいる模様。バックダンサーを率いて、楽しそうに踊りながら披露した「SUN」は、年末を明るく締めくくるにふさわしい1曲として、改めて人気を得たようです!
EXILEやAKB48は、メンバーの“卒業”をテーマとしたステージで高視聴率を獲得したものの【楽曲別アクセスランキング】の上位にはランクインしていませんでした。嵐やSMAP、V6らジャニーズ勢はメドレーを披露したため歌詞アクセスが分散したのか、こちらもそれほど閲覧数は上昇せず。また、高度で完璧なダンスとテクノロジーを融合した紅白史上初の演出で話題となったPerfumeも、歌唱曲の「Pick Me Up」の“紅白効果”は薄かったようです。

他にも、紅白効果があまり見られないケースとして“歌詞を検索しなくても歌えるほど楽曲が浸透している場合”などが挙げられ、様々な要因があることが歌詞検索結果から見えてきます。そして、今回ランキング上位に見られたのはいずれも、2015年紅白の【ザッツ、日本。ザッツ、紅白】というテーマにふさわしい<歌のチカラ>が強い楽曲である、ということがわかる結果となりました。