彼方

海に落ちてた ガラスの小瓶
嵐のあとの 難破船
雲の切れ間を 収めた写真
返しそびれた ペーパーパック

なぜ 私のもとへ
いつの間にか ここにあって
街燈を数えて
波打ち際 歩いていた

夜明けまで つづく海岸で
透明な 朝を待つ
踝に 残る冷たさも
いとしさも 幻に還る

残り香だけの バラの花束
花火が映す 壁の色
誰かが言った 短い言葉
映画のような 月あかり

終わりと始まりは
いつもいつも 背中合わせ
夜空を駆けてゆく
逆らえない 物語が

この夜に 肌を溶かしたら
透明な 朝がくる
ささやかで あどけない夢は
消えてゆく 波の花

彼方で 新しい 光
等しく この街を 照らしだす

あざやかな 白い光線が
幻を 束ねてく
くちびるに 残る一言の
意味さえも 透明になって

キラキラ マブシイカラ…
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