同情(あわれみ)

花の散ることは淋しいことなのだが
花の散ることは誰でも知っていて
やがて実のなる頃には
すっかり忘れてしまうのに
ほんの短い時間が
余りにひっそりとする為に
情深い偽善者が
深刻な顔で腕をくむ

その実を口にする時
誰が花のことまで想い出すものか
ただ
甘ずっぱいと思うだけで
所詮 同情なんてそんなもの

可哀そうにと涙ぐんでる目に
花は満開の季節だ
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