加賀慕情

見果てぬ夢に 誘われて
一人さすらう 金沢に
あきらめ切れぬ 心の痛み
男ごころの 哀しさよ
会ってみたとて 人の妻
逢えば未練が あゝ増すものを

過ぎ行く季節(とき)の 影写し
流れ犀(さい)川 別れ川
紅(くれない) 染める 友禅流し
恋の名残の 城下町
君をしのべば 黒髪の
後ろ姿の あゝなつかしさ

思い出残る 格子戸に
浮かぶ面影 加賀の宿
忘れぬ恋の 友禅模様
君が白さに 映える帯
湯の香漂う 山代に
恋うる想いの あゝ夜は更ける
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