戦友

ここは御国(おくに)を何百里
離れて遠き満州の
赤い夕日に照らされて
友は野末の石の下

思えば悲し昨日まで
真先駆けて突進し
敵を散々こらしたる
勇士はここに眠れるか

ああ戦の最中に
隣に居りしこの友の
にわかにはたと倒れしを
我は思わず駆け寄りて

軍律厳しき中なれど
これを見捨てて置かりょうか
確(しっか)りせよと抱き起し
仮繃帯も弾丸(たま)の中

折から起る突貫に
友は漸々(ようよう)顔あげて
御国(みくに)のためだかまわずに
遅れてくれなと目に涙

後に心は残れども
残しちゃならぬこの身体
それじゃ行くよと別れたが
永の別れとなったのか

永の別れとなったのか
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