Tシャツに口紅

夜明けだね 青から赤へ
色うつろう空
お前を抱きしめて

別れるの?って 真剣に聞くなよ
でも波の音が
やけに静かすぎるね

色褪せたTシャツに口紅
泣かない君が
泣けない俺を
見つめる
鴎が驚いたように
埠頭から翔び立つ

つきあって長いんだから
もうかくせないね
心に射した影

みんな夢だよ 今を生きるだけで
ほら息が切れて
明日なんか見えない

色褪せたTシャツに口紅
黙った君が
黙った俺を
叩いた
仔犬が不思議な眼をして
振り向いて見てたよ

朝陽が星を塗りつぶす
俺たちを残して

これ以上君を不幸に
俺 出来ないよと
ボツリと呟けば

不幸の意味を知っているの?なんて
ふと顔をあげて
なじるように言ったね

色褪せたTシャツに口紅
泣かない君が
泣けない俺を
見つめる
鴎が空へ
翔び立つ
動かない俺たちを
俺たちを
残して
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