曖昧なひとたち

駅の近くのカフェテラス 行き先は決まっていない
冬の端っこで二人は ただひっそりと話している

甘くとろけるようなセリフも交わしてないし
世の中を憂う大人の言葉もないけどそれでいいんだ

窓の外は木枯らしが吹いて 街ゆく人は凍えている
ここに愛が芽生えるかは誰も知らないから 春を待ってみよう

3杯目のホットコーヒー 地元の話も終わった
そろそろどこかへ出掛けよう でも寒いのは勘弁だ

二人並んで歩く その時くらい手は繋ぐ
なんとなく胸は高鳴っている そんな気はするんだけど

曖昧な二人の関係は 他と比べりゃおかしいけど
それなりの歩幅をもって ゆるり進んでいる
そこにはサプライズもマンネリもない平坦な恋路だけど
歩いてゆくには心地良いから疲れ知らず 苦しいことも知らず

『あいまい』という文字の中には『あい』という文字も含まれる
誰に急かされることのないペースでいいんだ
ほんの少し愛が芽生えたら 春を待つ草花とともに
大きくなるのを眺めて 笑えているのなら 二人上手くやれる
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