続・夕焼けだんだん

谷中銀座のお店屋さんに
買物ついでに寄り道したと
練馬の叔母ちゃん いつだって
ちょんまげ芋と見合いの写真
ふたつセットでやって来て
掘り出しものと 彼女はいうが
その気はないの 再婚ばなし
何度わたしは断ったやら
それでも叔母ちゃん怯(ひる)まない

(猫屋)は 冬模様
春の日差しを待ち侘びている
暇すぎて 思い込み
仏壇眺めてへたり込む
三回忌が済んだからって
あなたと始めたこの店閉めて
再婚なんて…… あり得ない

ああ 夕焼けだんだん 寒すずめ
ずり落ちそうだよ 空の雲
夕焼けだんだん 北風に
猫もどこかで 冬ごもり

会っても嫌なら断りゃいいし
立場もわかって 仲人口の
練馬の叔母ちゃん 拝むから
いい人だけに無碍(むげ)にも出来ず
遊びごころと言訳づきで
いざいざ往かむ 中華のお店
緊張している相手と違い
酢豚・ピータン 盆まわし
気がつきゃわたしが仕切ってた

見合いなれとは恐ろしい
なんだか不思議な気持ち
忘れてた 充実感
生きてる自分を感じたの
三回忌が済んだからって
あなたと始めたあの店閉めて
再婚なんて…… したなんて

ああ 夕焼けだんだん あの人も
許してくれそな 茜空
夕焼けだんだん 猫たちも
富士の尻っぽを見ています

ああ 夕焼けだんだん あの人も
許してくれそな 茜空
夕焼けだんだん 猫たちも
富士の尻っぽを見ています
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