キオクのカケラ

見覚えのある誰かに 起こされたような
乗り過ごした電車の中 潮騒になびく髪
忘れ物取りに来たように 誘なう景色は
持ち合わせた鞄に詰められないほど愛しく

あの線路脇にゆれる花に 想う恋は
まだ曲がり角に消えたバスを 追い続けてる

ゆらりゆられて春めき ひとり電車
何ひとつ変わらない 時の風に吹かれてる
西陽に焼けた文字と 褪せた看板
今もずっと 誰かを待つ場所で

空気の抜けた自転車を 押しているように
路地に転がる キオクのカケラを集めて歩いた

風になびく桜の花びらが 水面を揺らす
坂を降りた先に広がるのは 茜色海岸
めぐるめぐる記憶と ほどけた靴ひも
ノートの隅に書いた ラクガキがユメのカケラ
押し忘れたボタンは 遮断機を上げ
行き先までも 変えてしまうようで

沈む夕陽と伸びた影踏み
ほんの小さな一歩はこうだったね
遠くたなびく雲の形までも
ゆっくりと色づいて

ゆらりゆられて春めき ひとり電車
何一つ変わらない 時の風に吹かれてる
目を閉じれば感じる 夕凪の声

戻れる場所は 今も心(ここ)に

めぐるめぐる記憶と ほどけた靴ひも
ノートの隅に書いた ラクガキがユメのカケラ
押し忘れたボタンは 遮断機を上げ
行き先までも 変えてしまうようで
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