素晴らしい世界

都会を飾る真夜中の明かり
「あれは残業の景色なんだよ」と
君は眠そうに目を擦りながら
独り言のように呟いてる

商店街のシャッターが閉まり
終電車は最後の片道を
重たそうにひどく軋みながら
二人の影を瞬かせて消えた

帰り道 頭をめぐるのは 明日の不安ばかり
駆け抜ける風の潔さが 羨ましくなるよ

僕らが見つめてる世界はいつまでも
光も暗闇も抱え続けるから
迷うことくらい 何度もあるさ
涙が浮かんだら そのまま流せばいいよ

酔い潰れた誰かは道端に
野良猫は行きつけのあの家に
それぞれの温もりを求めては
一つだけの命を繋いでく

足元で揺れる花のように 強かになれたら
君の手をためらうこともなく 引いて歩けるのに

僕らが見逃した世界はもう二度と
同じ形で現れてくれないから
悩むことくらい 何度もあるさ
理想に疲れたら 静かに崩せばいいよ

星空が煩く輝いて 君の声が響く
「悲しみも 苦しみも 痛みも忘れ去りたいよ」と

僕らが見上げてる 世界はいつの日か
儚く消えてしまうかもしれないけど
ここで今立ち止り腕を伸ばして
二人が掴むのは確かなものだから
嬉しいことも必ずあるさ
何もいらないから 優しく微笑んでくれ
俯くその顔を ゆっくり上げてみてくれ
そこに広がるのは 素晴らしい世界なんだ
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