ぐっばい ぐっばい

夢を破いて夜中の電話
彼の肩越し受話器を取れば
胸に突き刺す重いダミ声
それはあいつの声だった

明日暇かと聞く前に
一言忘れていないかい
ここにいりゃいいとつくしてあげても
気取ってある朝ぐっばいしたくせに
あいつ帰ってきやがった
悪い予感はよく当る
あいつ帰ってきやがった
未練っていう名のだだっ子を
どこかに預けなきゃ

髪を直すと彼に嘘つき
一年ぶりにあいつと会った
ちょっとやつれたうつむき顔に
あたしちょっぴり驚いた

おまえいなくちゃだめだよと
水割りダブルがまわる頃
ぽつりとあいつにささやかれたのさ
二人でお店を初めてみないかと
あいつ帰ってきやがった
心がからだをくどくのさ
あいつ帰ってきやがった
やっぱりあたし惚れてるね
女は弱いのさ

だけどあいつはもういない
目覚めたベッドのぬけがらに
一年ぶりの涙を流しゃ
ぐっばい ぐっばい あいつの声がする
あいつ悪い男(ひと)じゃない
夢を見せてはすぐ消える
あいつ悪い男じゃない
愛されたふりがつらくても
あたしにゃ恋だった
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