旅笠道中

「人間 おぎゃアと生まれて思う様に
生きられる者は
一体何人おりましょう
上を見ればきりがない
下を見れば我慢もできる
近道なんかするよりもせめて
おのれの心に嘘をつかず
生きてみたいと思います」

夜が冷たい 心が寒い
渡り鳥かよ 俺等の旅は
風のまにまに 吹きさらし

風が変れば 俺等も変る
仁義双六 丁半かけて
渡るやくざの たよりなさ

「明日がない
夢がないと仰るんですかい
そりゃ一寸先は闇の浮世と云いますが
ごらんなさい道端の
名もない小さな花でさえ
春が来りゃぁ世に出ます
この人間界(うきよ) まんざら捨てたもんじゃ
ございませんぜ」

亭主もつなら 堅気をおもち
とかくやくざは 苦労の種よ
恋も人情も 旅の空
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