鼠小僧唄念仏

雪はしんしん 雲さえ凍る
浅利蜆の 売り声は
親があるやら ないのやら
爪を噛む子が 次郎吉の
胸にせつない 鐘の声

月は冴ゆれど 心は闇よ
鼠小僧の 悪名を
抱いて寝る夜の やるせなさ
この世は地獄さ 次郎吉の
枕ぬらした 夢のあと

駒はしゃんしゃん 仕置場さして
今ぞこの世を 捨て札に
槍はとどめの 十文字
未来は浄土か 次郎吉の
頬に明るい 夕ざくら
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