恋さま道中

人の浮世が 表と裏と
二つあるとは つい知らなんだ
嫌でござんす お天道様よ
親は極楽
罪もないのに 子は地獄

どこが塒か 一本刀
馬鹿な話よ 日の暮れ時は
旅の永さと 草鞋の重さ
胸にこたえて
泣かぬつもりが ついほろり

江戸を離れて 西空百里
鳥羽の宿場で 拾った夢は
緑も深川 浮名も辰巳
仇なあの娘の
解いて崩した 洗い髪
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