遺言

あいつが死んだ 前の晩
酒を 汲みかわしながら
あいつは 俺の眼を じっと見つめ
しみじみ 話をした
ああ 何の為に俺達は 今
生きているんだろうネ
明日が 今日と変わりがないなら
生きる意味があるんだろうか

俺は答えず 少し笑って
かたわらのギターを 取って
どうにかなるさ なんて歌を 歌って
又 酒を飲んだ
それから あいつは黙り込んで
酒も飲まなくなっちまって
俺は俺で 歌ばかり歌って
へべれけに 酔っぱらっちまったョ

あいつの肩車で 外に出た
とこら辺までは 覚えているけど
気が付いてみると 下宿の二階
二日酔いの朝だった
その頃 あいつは 一人ぼっちで
カラッポの薬ビンの そばで
もう二度と帰れない旅に
出たところだった
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