組曲「九尾」~玉藻前

ねえ 童賺しは 仕舞にして
さあ 傍に 座して
あな 徘徊る如 濁らせても
夜は 徒 深ける丈

此の躯は 御身のものぞ 艶場と
寝腐り 揺られて 眠る

見詰めるより 抱いて 震える迄
太刀風より 強く 崩れる迄
囁くより 枕いて 燃え切る迄
寝る魂より 甘く 酔い痴る迄

ねえ 其れで少しは 男せらば
さあ 振りを 見せて
あな 裲襠の褄 引き張るとは
如何に 不得手に非ず

夜の羽根が はらり 落ちて
火照る 芋虫が ふわり 浮かぶ
密めき 色に 焼かれて 堕ちる

見詰めるより 抱いて 震える迄
太刀風より 強く 崩れる迄
囁くより 枕いて 燃え切る迄
寝る魂より 甘く 酔い痴る迄

嗚呼 痺れる 爪先 投ぎ
打場げし 肩を 撫でる
濡れ通る 褥 泳ぎ
寄せ返す 濤に
漕ぎて 扱ぎて 絶え果てる迄

見詰めるより 抱いて 震える迄
太刀風より 強く 崩れる迄
囁くより 枕いて 燃え切る迄
寝る魂より 甘く 酔い痴る迄

惚げり
立ち居るより 抱いて 震える迄
舞風より 強く 崩れる迄
接吻より 噛んで 千切れる迄
鳥羽玉より 黒く 汚れる迄
融け合う
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