氷壁

あなたが最後に書いた
日記を読ませてもらい
乱れた鉛筆の文字を見て泣きました

吹雪に埋れたあなた
さぞ冷たかったでしょう
あんなに愛してた雪山なのに

切れたザイルはふたりの心をつないだ絆ね
ひとりしみじみ結びなおしてみます
雪がとけたらあの山 私も登ってみましょう
想い出のケルンをたどって

穂高に谷川 槍と
写真のアルバムめくり
あなたの陽に灼けた微笑みを探します

この頃 誰彼なしに
忘れなさいねと言うの
あなたのお母さんまでも そう言うの

瞳濡らした涙は 心の雪どけ水です
この哀しみもいつか薄れるかしら
雪がとけたらあの山 私も登ってみましょう
想い出のヒュッテをたずねて
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