白い椅子の陰

ガラス窓の向こうには
ラッシュアワーでバスが行く
あのバスから降りてくる
君の姿が見えてくる
緑の扉に銀のフチ 坂道の途中のこの茶店
初めていっしょに来た時に
なぜか淋しそうだった
君がすわった 白い椅子に
僕の知らない 思い出があるなんて
今 初めて知ったけど
そんな思い出を 隠していたなんて
僕の冗談に笑えない
あの時の君が嫌だった

僕の話しもうわの空
いつもおしゃべりな君らしくない
君の心に誰かさんが
いつも住んでいたのでしょう
今まで君との 出来事が
とても色あせてしまうじゃないか
今 初めて知ったけど
そんな思い出を 隠していたなんて
話すこともなくなって
けんかすることも今はない
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