蛙の歌

井戸の中に住む あなたと私には
外の景色など 見上げる余裕はない

生まれながら誰しも不平等
比べたら悲しくて生きてけない
今日もぽろぱろの鞄逆さにしても
あなたにあげるパンさえない

どうぞ私の背中を踏み台にして
遠慮なく靴のままで足をかけてよ
ぶら下がる幸せにあなたの手が届くなら
私踏ん張る 四つん這いになって
踏ん張る 泥水を飲み
さあ 私の背中を踏み台にして

木枯らし吹いても あなたと私には
紅葉の赤さえ 知らないまま冬へ
生まれながら誰しも不平等
恨んでる暇さえございません
誰かが飽きて捨てたおもちゃの船に
夢を乗せて空を睨む

どうぞ私の背中を踏み台にして
遠慮なく助走付けて飛び上がってよ
見上げる外の世界あなたが楽になるなら
私踏ん張る 膝が減り込んでも
踏ん張る 月夜が笑う
さあ 私の背中を踏み台にして

好きで井戸の中の蛙でいるわけじゃないんだ
壁をよじ登りまた落ちてよじ登る毎日

どうぞ私の背中を踏み台にして
遠慮なく助走付けて飛び上がってよ
見上げる外の世界 あなたが楽になるなら
どうぞ私の背中を踏み台にして
井の中の蛙なんて私だけでいい
ぶら下がる幸せにあなたの手が届くなら
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