無明坂

ひと色濃い 寒紅を
人刺すように 唇(くち)に指す
あかつきに きりきりと
登って懲りない この坂は
華やぐいのちの 無明坂

反る指先に 花が散る
はるかな空で 鳥になる
抱きとめて やわらかく
吐息の合い間に 虫が鳴く
愛しさあふれる 無明坂

くずれた髪を 手で梳いて
答えは出ずに 坐り込む
薄闇に しらじらと
三日月のこした この坂は
何処まで転がる 無明坂
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