花嫁になる君に

指がふれたら
ぽつんと落ちてしまった
椿の花みたいに
おそらく観念したんだネ

君はいつもの様に
電話に僕を呼びだし
僕を笑わせた後で
その宣言をしたのだった

お料理を習うのも
まんざらすてたもんじゃないよ

そちらから電話を切ったから
君はもっと他のことも
云おうとしてたんだろう

受話器をおいたら
終ってから初めて気づく
運命みたいに
ぼくにも 悲しみが湧いてきた

君はこれから ぼくに
気軽に電話をしなくなり
ぼくの退屈さをすくってくれる君は
いなくなったのだ

お料理を習うのも
まんざらすてたもんじゃないよ

とつぜん とても確かになったのは
とり残されたのは
僕だったということなんだ
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