きづいてよ

こんな日もこの街は混んでる  すれ違う傘がぶつかる
地下道のサインに かけ込んだら 一番会いたくない人に どうして?

うれしそうな顔して  ポケットから出した手ふりながらやってくる
突然すぎて笑えない

‘元気そうだね’ なんてほっとしてるけど
もうやだ きづいてよ
ほほの内側かんで 結ぶくちびるに
きづいてよ 一度は好きでいてくれたなら


濡れたつまさきをただ見つめて 目も合わせずうなずくだけ
足元にできた水たまり 傘の先で何度もひっかいた

本当は 私の方が早くあなたを見つけてた
遠くても あなたがわかった

‘元気そうだね’ なんてほっとしてるけど
もうやだ きづいてよ
ほほの内側かんで 結ぶくちびるが
少しずつ 震えだす


‘じゃあ’ と一言だけの 簡単すぎるさよなら
次に会う約束も 何も無いさよなら


‘元気そうだね’ なんてほっとしてたけど
一度でも つきあってたなら

‘きづいてよ バカ’ やっと声になった言葉は
傘たたんで降りてくる人達が 踏んでく

段をとばして 消えて去く後ろ姿は
立ち止まらない 一度も振り返らない

きづいてよ 一度は 好きだったなら・・・
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