夢追い川

川の瀬音か 降る雨か
山の湯宿(ゆやど)は こころがしぐれる
夢をみさせて もう一度
浴衣の肩を抱きよせた
あの日のあなたが盃(さかずき)に
こぼれてすがる 夢追い川よ

誰を呼ぶのか 水鳥よ
声がわびしく 夜雨(よさめ)にあとひく
夢をみさせて ねぇ あなた
拭いても残るくち紅の
色さえさみしく身をせめる
あなたが欲しい 夢追い川よ

酔いにうたたね 手枕の
耳に流れる せせらぎ悲しい
夢をみさせて もう一度
湯の香に匂う黒髪が
今夜もあなたに濡れながら
乱れてからむ 夢追い川よ
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