悲しくて

薄く曇った 硝子窓
コトコト揺らす風の便り
ひとり暮しの この部屋に
訪れた寒い季節
ひと冬前は あたしの
躰あたためる あなたが居た
けれど運命の悪戯か
あなたは還らぬ人に

悲しくて 悲しくて
身も心も やつるるほどに
哀しさよりも 人恋しさに
あふれた涙も涸れ果てて
生きてゆくには 面影だけが
あまりに優しすぎる

思い出だけに つつまれて
過ぎゆく日々は 淋しすぎる
いますぐ声を聞きたい
もう一度 抱かれてみたい
悲しくて 悲しくて
眠れぬ夜は 狂おしく
呼びかえすこと できるのならば
声を限りに 叫びもした
せめて叶わぬ願いならば
想い出消し去りたい

悲しくて 悲しくて
身も心も やつるるほどに
哀しさよりも 人恋しさに
あふれた涙も涸れ果てて
生きてゆくには 面影だけが
あまりに優しすぎる

あまりに優しすぎた
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