風の津軽

雪は一冬(ひとふゆ) 情けは一夜(ひとよ)
津軽(つがる)じょんがら くどき節 くどき節
故郷(くに)を出たときゃ わたしも二十才(はたち)
母の匂(にお)いが なつかしい
あいやで弘前(ひろさき) よされで津軽
遠い春

欠(か)けた茶碗(ちゃわん)の ふるまい酒で
心温(こころぬく)めて膝を抱く 膝を抱く
叩(たた)き三味線(じゃみせん) 太棹(ふとざお) 抱いて
女哀(かな)しや 夢さぐり
あいやで木造(きづくり) よされで津軽
岬宿(みさきやど)

抱くに抱けない みちのく灯(あか)り
民謡(うた)が道連れちぎれ雲 ちぎれ雲
風の津軽が しばれて哭(な)けば
三味(しゃみ)がひとしお 重くなる
あいやで小泊(こどまり) よされで津軽
紅(べに)がちる
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