喰べられてしまった貘

まずまず初めは小さな声で
アドバギ アドバグ シンナ シンナ
寝ている妖精 起こさぬように
アドバギ アドバグ シンナ シンナ

籐の椅子にも 午後が来て
杏(あんず)の枝の影が揺れます
水蜜桃の罐詰の
淡雪(めれんげ)の雪 溶けだしました

ぱく ぱく 夢を食べる貘
ぱく ぱく 貘を食べてしまった
あなたと私

アドバギ アドバグ シンナ シンナ
明日はきっと きっと 不幸福(ふしあわせ)

銀のフォークで つき刺した
枇杷(びわ)が汗かき嘆いています
種の大きな 果物は
産毛も甘く 傷つきやすい

ぱく ぱく 夢を食べる貘
ぱく ぱく 貘を食べてしまった
あなたと私

アドバギ アドバグ シンナ シンナ
呪文もきっと きっと 効かないわ

ぱく ぱく 夢を食べる貘
ぱく ぱく 貘を食べてしまった
あなたと私

アドバギ アドバグ シンナ シンナ
明日はきっと きっと さよならね
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